3.接近

---

後日、私は総司と巡察だった。そこには、千鶴ちゃんもいるわけで私は彼女と話しをしていた。
すると、不意に彼女が伊東さん関連で話しを持ち掛けた。


「そういえば、民子さん。今日、昼いませんでしたよね」

「ん？　あぁ、ちょっと山崎君とね」

「じゃあ、永倉さんと斎藤さんが伊東さんに接待されたの聞いてないですよね？」


その衝撃の事実に、私は「え？」と聞き返した。千鶴ちゃんによると、永倉さんと斎藤君は伊東さんに引き抜きの話を持ち掛けられたらしい。けど、永倉さんは沢山飲み食いさせてもらったあと、断ったそうだ。
流石、永倉さん。強い。

すると総司が、口を尖らせて不満を口にする。


「僕だけ、呼ばれてない。皆、ずるいなぁ」

「え、沖田さん。呼ばれたら、伊東さんに着いて行っちゃうんですか」

「そりゃ、もちろん……」

「え！？」


そう思わせぶりなことを言った総司だが、すぐに


「斬っちゃうかも」


と笑った。“かも”じゃないでしょ、と思ったのは内緒。多分、伊東さんと総司の間に何かあったのだろう。じゃなきゃ、伊東さんが放っておくわけがない。
だから、総司と仲が良い私も、呼ばれないんだろうな――。