思想と仲間
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「けど、もし私たちが西本願寺を屯所にすれば、長州は身を隠す場所を一つ失うことになる、ってわけ」
「あ……!」
千鶴ちゃんは、私の解説に目を見開く。彼女なりに、何か感じたのだろう。すると、山南さんが
「僧侶の動きを武力で押さえ付けるなど、見苦しいとは思いませんか?」
と眉を顰めて意見する。
「確かに山南さんの言うことは、一理ある。けど……」
「民子さん、貴女もそんなことを言うのですか?」
「そういうわけじゃないですけど……。仕方のないことでは、と思ったまでです」
すると、土方さんが
「寺と坊さんを隠れみのにして、今まで好き勝手やってきたのは長州だろ?」
と山南さんに言い放った。
「……過激な浪士を押さえる必要がある、という点に関しては同意しますが」
「トシの意見はもっともだが、山南君の考えも一理あるなあ」
近藤さんは、爽やかな笑顔で頷いた。その様子に、ある人物が口を開いた。
「さすがは近藤局長ですねぇ。敵方へまで配慮なさるなど懐が深い」
「む? そう言われるのはありがたいが、俺など浅慮もいいところですよ」
――伊東さんだ。彼の発言で、土方さんと総司が顔を顰めた。
そして、伊東さんは山南さんに笑みを向けた。
「山南さんは相変わらず、大変に考えの深い方ですわねぇ。まあ左腕は使い物にならないそうですが、それも些細な問題ではないかしら?」
その発言は、その場を凍てつかせた。
「剣客としては生きていけずとも、お気になさることはありませんわ。山南さんはその才覚と深慮で新選組と私を充分に助けてくれそうですもの」
流石の私も、それはいただけない。確かに、山南さんは頭も良い。
けど、彼は剣を握りたいのだ。
山南さんは、何も言わない。が、他の皆が殺気立つ。
「伊東さん、今のはどういう意味だ」
土方さんが、口火を切る。
「あんたの言うように、山南さんは優秀な論客だ。……けどな、山南さんは剣客としてもこの新選組に必要な人間なんだよ!」
珍しい。土方さんが、こんなにも声を荒げるなんて。まぁ、それだけ気にくわないのだろうが――。それは失言だ。
しかし、伊東さんは
「あら、私としたことが失礼致しました。その腕が治るのであれば何よりですわ」
と微笑して、謝罪した。
「あ……!」
千鶴ちゃんは、私の解説に目を見開く。彼女なりに、何か感じたのだろう。すると、山南さんが
「僧侶の動きを武力で押さえ付けるなど、見苦しいとは思いませんか?」
と眉を顰めて意見する。
「確かに山南さんの言うことは、一理ある。けど……」
「民子さん、貴女もそんなことを言うのですか?」
「そういうわけじゃないですけど……。仕方のないことでは、と思ったまでです」
すると、土方さんが
「寺と坊さんを隠れみのにして、今まで好き勝手やってきたのは長州だろ?」
と山南さんに言い放った。
「……過激な浪士を押さえる必要がある、という点に関しては同意しますが」
「トシの意見はもっともだが、山南君の考えも一理あるなあ」
近藤さんは、爽やかな笑顔で頷いた。その様子に、ある人物が口を開いた。
「さすがは近藤局長ですねぇ。敵方へまで配慮なさるなど懐が深い」
「む? そう言われるのはありがたいが、俺など浅慮もいいところですよ」
――伊東さんだ。彼の発言で、土方さんと総司が顔を顰めた。
そして、伊東さんは山南さんに笑みを向けた。
「山南さんは相変わらず、大変に考えの深い方ですわねぇ。まあ左腕は使い物にならないそうですが、それも些細な問題ではないかしら?」
その発言は、その場を凍てつかせた。
「剣客としては生きていけずとも、お気になさることはありませんわ。山南さんはその才覚と深慮で新選組と私を充分に助けてくれそうですもの」
流石の私も、それはいただけない。確かに、山南さんは頭も良い。
けど、彼は剣を握りたいのだ。
山南さんは、何も言わない。が、他の皆が殺気立つ。
「伊東さん、今のはどういう意味だ」
土方さんが、口火を切る。
「あんたの言うように、山南さんは優秀な論客だ。……けどな、山南さんは剣客としてもこの新選組に必要な人間なんだよ!」
珍しい。土方さんが、こんなにも声を荒げるなんて。まぁ、それだけ気にくわないのだろうが――。それは失言だ。
しかし、伊東さんは
「あら、私としたことが失礼致しました。その腕が治るのであれば何よりですわ」
と微笑して、謝罪した。