思想と仲間
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1.伊東甲子太郎と新選組
昔から、皆とは一緒だった。江戸を出発した時、皆の背中を見て思った。
これから、この人たちと頑張っていくんだ。着いていこう、と。
――……‥‥
元治元年 10月
我ら新選組に、新たな人物が入隊した。
伊東甲子太郎。平助が江戸に行った際、知り合いだからと勧誘。参謀として、この屯所の門をくぐった。ちなみに平助はまだ、江戸である。
元は、尊王派で私たちと思想が違う。ただ、近藤さんと“攘夷”という点では利害が一致。近藤さんは、快く伊東さんを迎え入れた。
しかし、幹部連中のほとんどは彼のことを良く思っていないらしい。尊王派だからか、あの男女のような口調だからか、どちらにせよ最初から良く思っていなかった。
「八木さんたちにも世話になったが、この屯所もそろそろ手狭になってきたか」
土方さんが、呟いた。広間で幹部会議をしている今だが、そんなに緊張したものではない。
「まあ、確かに狭くなったなぁ。隊士の数も増えてきたし」
永倉さんの言葉に、今度は千鶴ちゃんが応える。
「隊士さんの数は……多分、まだまだ増えますよね」
「広いところ移れるなら、それがいいんだけどな。雑魚寝してる連中、かなり辛そうだしな」
「だけど、僕たち新選組を受け入れてくれる場所なんて、何か心当たりでもあるんですか?」
確かにそうだ。新選組は京で“人斬り集団”と恐れられている。そんな私たちを受け入れてくれるところなんて、あるのだろうか。
総司の問いに、土方さんが微笑しながら答える。
「西本願寺」
「あははは! それ、絶対嫌がられるじゃないですか!……反対も強引に押し切るつもりなら、それはそれで土方さんらしいですけど?」
「確かに、あの寺なら十分広いな。……ま、坊主どもは嫌がるだろうが。それに西本願寺からなら、いざと言うときにも動きやすいだろ」
原田さんは、笑って適確なことを言う。今の屯所は京の外れにあり、巡察に出るのも非常に面倒だ。西本願寺なら、かなり便利になる。
その時、千鶴ちゃんが疑問を口にする。彼女は、京に来てから事情により街に出る回数が少ない。まだまだ知らないことが多い。
「そんなに嫌がられそうなんですか?」
「西本願寺は長州に協力的だ。何度か浪士を匿っていたこともある」
「だから、西本願寺の人に同意を得るのは、簡単なことじゃない……」
斎藤君の言葉に、私が続けて言った。そして、更に続ける。
昔から、皆とは一緒だった。江戸を出発した時、皆の背中を見て思った。
これから、この人たちと頑張っていくんだ。着いていこう、と。
――……‥‥
元治元年 10月
我ら新選組に、新たな人物が入隊した。
伊東甲子太郎。平助が江戸に行った際、知り合いだからと勧誘。参謀として、この屯所の門をくぐった。ちなみに平助はまだ、江戸である。
元は、尊王派で私たちと思想が違う。ただ、近藤さんと“攘夷”という点では利害が一致。近藤さんは、快く伊東さんを迎え入れた。
しかし、幹部連中のほとんどは彼のことを良く思っていないらしい。尊王派だからか、あの男女のような口調だからか、どちらにせよ最初から良く思っていなかった。
「八木さんたちにも世話になったが、この屯所もそろそろ手狭になってきたか」
土方さんが、呟いた。広間で幹部会議をしている今だが、そんなに緊張したものではない。
「まあ、確かに狭くなったなぁ。隊士の数も増えてきたし」
永倉さんの言葉に、今度は千鶴ちゃんが応える。
「隊士さんの数は……多分、まだまだ増えますよね」
「広いところ移れるなら、それがいいんだけどな。雑魚寝してる連中、かなり辛そうだしな」
「だけど、僕たち新選組を受け入れてくれる場所なんて、何か心当たりでもあるんですか?」
確かにそうだ。新選組は京で“人斬り集団”と恐れられている。そんな私たちを受け入れてくれるところなんて、あるのだろうか。
総司の問いに、土方さんが微笑しながら答える。
「西本願寺」
「あははは! それ、絶対嫌がられるじゃないですか!……反対も強引に押し切るつもりなら、それはそれで土方さんらしいですけど?」
「確かに、あの寺なら十分広いな。……ま、坊主どもは嫌がるだろうが。それに西本願寺からなら、いざと言うときにも動きやすいだろ」
原田さんは、笑って適確なことを言う。今の屯所は京の外れにあり、巡察に出るのも非常に面倒だ。西本願寺なら、かなり便利になる。
その時、千鶴ちゃんが疑問を口にする。彼女は、京に来てから事情により街に出る回数が少ない。まだまだ知らないことが多い。
「そんなに嫌がられそうなんですか?」
「西本願寺は長州に協力的だ。何度か浪士を匿っていたこともある」
「だから、西本願寺の人に同意を得るのは、簡単なことじゃない……」
斎藤君の言葉に、私が続けて言った。そして、更に続ける。