思想と仲間
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平助は知っていた――?
つまり、私だけがこの事実を知らなかった。そういうことになる。私だけ仲間外れにされた気分だった。平助も同じだと思っていたのに、違ったのだ。
それから、天霧が千鶴ちゃんを渡せと説得していた。もちろん新選組が承諾するはずがない。
そして――戦いが始まった。
血や怒号が飛び交う中、私はどうして良いか分からなかった。
ここにきて、迷っているのだ。
そんな時、私の前に千鶴ちゃんが来た。
「民子さんっ」
「……どうしたの」
「民子さんもっ、新選組に戻ってきて下さい!」
突然の提案。しかし、揺らいだ。
「無理、だよ」
横目に入る、平助は原田さんや永倉さんと共に戦っていた。
「平助は説得に応じたの」
「はい……! 民子さんもっ」
「私は」
視界が一段暗くなった気がした。言いかけた言葉を止め、顔を上げると千鶴ちゃんの背後に一人の薩摩藩士が立っていた。
刀が振り上げられる。
「千鶴ちゃん!」
「え?……きゃあああっ」
「! 千鶴っ!!」
刀が振り下ろされる。そう思ったのに、途中で止まった。よく見れば、さっきまで無かった薩摩藩士の胸から刀の先端が飛び出していた。
どこから――?
「平助君っ!?」
「平助っ!?」
千鶴ちゃんの声に反応し平助を見ると、彼は手ぶらだった。
「見上げた度胸です。しかし、浅はかだっ!」
倒れた薩摩藩士に刺さった刀は、平助の愛刀であった。つまり、刀を投げた。
もう一度平助を見れば、天霧が渾身の一撃を放っていた。
一瞬だった。はっきりと見てしまった。
血が溢れ、真っ赤に染まる平助に怖くなった。
「平助っ!」
「出血が止まらねぇ!」
「平助君っ!!」
駆け寄る新選組。平助は死んでしまうのだろうか。
「平助っ、それ以上喋るなっ!」
「急いで屯所に連れていくぞ!!」
平助の身体を軽々と持ち上げた永倉さんが、走り去っていく。
「チッ、今日はこの辺にしとくかァ」
不知火の一言で、鬼たちは去っていった。
私は――逃げた。
つまり、私だけがこの事実を知らなかった。そういうことになる。私だけ仲間外れにされた気分だった。平助も同じだと思っていたのに、違ったのだ。
それから、天霧が千鶴ちゃんを渡せと説得していた。もちろん新選組が承諾するはずがない。
そして――戦いが始まった。
血や怒号が飛び交う中、私はどうして良いか分からなかった。
ここにきて、迷っているのだ。
そんな時、私の前に千鶴ちゃんが来た。
「民子さんっ」
「……どうしたの」
「民子さんもっ、新選組に戻ってきて下さい!」
突然の提案。しかし、揺らいだ。
「無理、だよ」
横目に入る、平助は原田さんや永倉さんと共に戦っていた。
「平助は説得に応じたの」
「はい……! 民子さんもっ」
「私は」
視界が一段暗くなった気がした。言いかけた言葉を止め、顔を上げると千鶴ちゃんの背後に一人の薩摩藩士が立っていた。
刀が振り上げられる。
「千鶴ちゃん!」
「え?……きゃあああっ」
「! 千鶴っ!!」
刀が振り下ろされる。そう思ったのに、途中で止まった。よく見れば、さっきまで無かった薩摩藩士の胸から刀の先端が飛び出していた。
どこから――?
「平助君っ!?」
「平助っ!?」
千鶴ちゃんの声に反応し平助を見ると、彼は手ぶらだった。
「見上げた度胸です。しかし、浅はかだっ!」
倒れた薩摩藩士に刺さった刀は、平助の愛刀であった。つまり、刀を投げた。
もう一度平助を見れば、天霧が渾身の一撃を放っていた。
一瞬だった。はっきりと見てしまった。
血が溢れ、真っ赤に染まる平助に怖くなった。
「平助っ!」
「出血が止まらねぇ!」
「平助君っ!!」
駆け寄る新選組。平助は死んでしまうのだろうか。
「平助っ、それ以上喋るなっ!」
「急いで屯所に連れていくぞ!!」
平助の身体を軽々と持ち上げた永倉さんが、走り去っていく。
「チッ、今日はこの辺にしとくかァ」
不知火の一言で、鬼たちは去っていった。
私は――逃げた。