その時であった。


「大変だ！」


一人の仲間が、私たちの前に現れた。その慌てようは尋常ではない。
どうしたの、と聞けばその男は衝撃の事実を口にした。


「伊東先生が新選組にやられた！」

「何！？　新選組とは友好的ではなかったのか！？」

「それがやられたんだ！　くっそ、奴らは丸腰の先生を襲ったんだ！　卑劣だっ」


それから私たちは、伊東さんが暗殺されたという油小路に向かった。




――……‥‥

そこは悲惨だった。沢山の死体。それは御陵衛士も新選組も入り混じる。互いに罵り合い、刃を向ける様は実に醜かった。

すると一人の御陵衛士が、私に助けを求めてきた。それがあってか、私にどんどん新選組が立ち向かって来る。

今いるのは原田さんと永倉さんなので、十番組と二番組しかいないようだった。かつて、私が面倒を見た彼らはいない。少なくとも、それは私にとって良かった。

だけどやっぱり今、刃を仕方なく交えている男たちに「裏切り者」だとか「死んでください、すみません」だとか言われるたび、心が痛かった。

しかし、突然だった。一発の銃声が当たりに響き渡る。その場にいる全員が、音の出所を探った。
一瞬にして起こった静けさの中に立っていたのは“鬼”と呼ばれる、彼らだった――。