思想と仲間
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「何だよ。その優柔不断っ。民子ちゃんは何考えてんだよ!?」
「新八、やめろ。民子は女だぜ。俺らと一緒に上洛して、俺らが戦うから戦ってた。その民子が、初めて自分で考えて悩んで、人に話聞いて……また悩んで。悩んだ挙げ句、出した答えだ。民子が、そっちが正しいって思うなら、俺達は止めらんねぇよ」
「だけど、左之はそれで良いのかよ!? 明らかに、流されてんじゃねぇか! それが、民子ちゃんの本心だと言えるのかよ!? 上手く乗せられてるんじゃねぇのか!」
新八さんの言い分もわかる。だけど――。
冷静を取り戻した僕は、口を挟んだ。
「確かに、民子ちゃんは流されてる」
「そうだろ!? 流石、総司だぜ」
「でも、しっかりした理由が彼女にあったなら、伊東さん如きの話で民子ちゃんがなびくとは思えない。いつもしっかりした民子ちゃんが、伊東さんについていくって決めた。土方さんに話したことは、曖昧だけどそれが民子ちゃんが感じた素直な気持ちだと思う」
民子ちゃん自身、自分の考えがよく分かってない。でも、ありのままを土方さんに伝えてる。隠さないで嘘を吐かないで、ありのままを。
すると新八さんは、あーっと叫んで頭を抱えた。
「何でなんだっ。何でなんだよ。……そもそも、民子ちゃんと伊東さんに接点があったなんて聞いてねぇよ」
「だな。俺も聞いてねぇ」
「僕も。土方さん、それに関して何か聞いてませんか?」
一斉に土方さんに視線が向けられる。
「それに関しては一つ」
「何だ?」
「……民子が自ら伊東に接触を図ったらしい」
「は?」
全員の声が重なった。土方さんは続ける。
「伊東が接待をあらゆる奴にしてたときがあっただろ」
「僕はされてませんけどね」
「自分は総司とよくいるからか、伊東に呼ばれたことはなかったそうだ。だから、興味本位もあって伊東に“何で自分にはないのか”と聞いたらしい」
呆れた。流石に僕だけじゃあない。その場にいる誰もが呆れている。
確かに民子ちゃんは、昔からお転婆で何に対しても興味津々だった。大人になって少しは大人しくなったけど、それでも少し他の子より行動力があって心配したこともあった。
それに、民子ちゃんは伊東さんのこと僕たちのように嫌ってなかったみたいだし。だから心配だったのに。
「仮にも、参謀を務めた伊東だ。興味本位で近付いたが、思いの外、考えさせられることを言われ考えた結果が、離隊だ」
「あー! もう、やっぱ乗せられたんじゃねぇか!」
「新八。落ち着け。民子が考え俺に言ってきたことだ。もう、仕方ねぇ」
その一言で、会議は終わった。冷めたお茶を飲もうとしたとき、千鶴ちゃんに「熱いの入れ直しましょうか」と言われたけど、僕は断った。
「今は暑いからね。これくらいが良い」
冷めたお茶は、生温かった。
7.崩れ始めた歯車 END
次の話へ(P19~)→
「新八、やめろ。民子は女だぜ。俺らと一緒に上洛して、俺らが戦うから戦ってた。その民子が、初めて自分で考えて悩んで、人に話聞いて……また悩んで。悩んだ挙げ句、出した答えだ。民子が、そっちが正しいって思うなら、俺達は止めらんねぇよ」
「だけど、左之はそれで良いのかよ!? 明らかに、流されてんじゃねぇか! それが、民子ちゃんの本心だと言えるのかよ!? 上手く乗せられてるんじゃねぇのか!」
新八さんの言い分もわかる。だけど――。
冷静を取り戻した僕は、口を挟んだ。
「確かに、民子ちゃんは流されてる」
「そうだろ!? 流石、総司だぜ」
「でも、しっかりした理由が彼女にあったなら、伊東さん如きの話で民子ちゃんがなびくとは思えない。いつもしっかりした民子ちゃんが、伊東さんについていくって決めた。土方さんに話したことは、曖昧だけどそれが民子ちゃんが感じた素直な気持ちだと思う」
民子ちゃん自身、自分の考えがよく分かってない。でも、ありのままを土方さんに伝えてる。隠さないで嘘を吐かないで、ありのままを。
すると新八さんは、あーっと叫んで頭を抱えた。
「何でなんだっ。何でなんだよ。……そもそも、民子ちゃんと伊東さんに接点があったなんて聞いてねぇよ」
「だな。俺も聞いてねぇ」
「僕も。土方さん、それに関して何か聞いてませんか?」
一斉に土方さんに視線が向けられる。
「それに関しては一つ」
「何だ?」
「……民子が自ら伊東に接触を図ったらしい」
「は?」
全員の声が重なった。土方さんは続ける。
「伊東が接待をあらゆる奴にしてたときがあっただろ」
「僕はされてませんけどね」
「自分は総司とよくいるからか、伊東に呼ばれたことはなかったそうだ。だから、興味本位もあって伊東に“何で自分にはないのか”と聞いたらしい」
呆れた。流石に僕だけじゃあない。その場にいる誰もが呆れている。
確かに民子ちゃんは、昔からお転婆で何に対しても興味津々だった。大人になって少しは大人しくなったけど、それでも少し他の子より行動力があって心配したこともあった。
それに、民子ちゃんは伊東さんのこと僕たちのように嫌ってなかったみたいだし。だから心配だったのに。
「仮にも、参謀を務めた伊東だ。興味本位で近付いたが、思いの外、考えさせられることを言われ考えた結果が、離隊だ」
「あー! もう、やっぱ乗せられたんじゃねぇか!」
「新八。落ち着け。民子が考え俺に言ってきたことだ。もう、仕方ねぇ」
その一言で、会議は終わった。冷めたお茶を飲もうとしたとき、千鶴ちゃんに「熱いの入れ直しましょうか」と言われたけど、僕は断った。
「今は暑いからね。これくらいが良い」
冷めたお茶は、生温かった。
7.崩れ始めた歯車 END
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