思想と仲間
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「民子が、伊東派について行くことになった」
――え。
「少し……いや、かなり予想外だ。あいつは、伊東派と通じてねぇと思っていたからな」
沈黙。誰もが驚き目を見開いていた。千鶴ちゃんなんか、口を押さえて気持ちの整理をしているよう。
それから、沈黙を破ったのは左之さんだった。
「嘘だろ?」
「……嘘じゃねぇ」
「何でっ。それ、民子から直接聞いたのかよ?」
視線が一度に集まる。土方さんは、目をそらし肯定した。
「昨晩、あいつが部屋に来てな」
――……‥‥
「土方さん、民子です。失礼します」
「入れ。……何だ?」
「私、明日伊東さんについていきます」
「!?……何だとっ」
「申し訳ありません。皆のこと、嫌いになったとかじゃありませんので」
「なら、どうしてだ?」
「自分の信じるものが分からないんです」
「なに?」
「私が、ここにいるのは皆がいるからでした。でも、だからと言って私自身が幕府に思い入れがあったり、幕府を強く信じるわけがあるかというと、ないんです」
「じゃあ、天皇さんにはあるってのか?」
「近藤さんが、天皇を敬い幕府も大切にする。その考えは嫌ではないんです。でも、私たちに羅刹の実験を命じた幕府に嫌な気持ちを持ってしまったんです」
「……俺達は別に天皇を敵にしてるんじゃねぇ。要はてめぇが新選組に不信を持ってるかどうかだ」
「それは、違います!」
「じゃあ何で伊東についていくんだ!?」
「……それは」
「言ってみろ……。言ってみろよ!」
「そしたらあいつは“執着しているのは新選組でも、幕府でもない。ここにいる仲間。政のことはよく分からないが、伊東や平助に話を聞いて弱い自分はそっちに流された。天皇は神だから、神のために戦う。それが正しい気がした。……平助や斎藤がいるから、一人じゃないと思うと伊東派についていっても良いって思った”だとよ」
信じることが出来ない。民子ちゃんが、伊東派なんて何考えてるの? 何で、誰も気付かなかったの? 僕もだ。
握る拳の中で、爪が食い込んだ。
――え。
「少し……いや、かなり予想外だ。あいつは、伊東派と通じてねぇと思っていたからな」
沈黙。誰もが驚き目を見開いていた。千鶴ちゃんなんか、口を押さえて気持ちの整理をしているよう。
それから、沈黙を破ったのは左之さんだった。
「嘘だろ?」
「……嘘じゃねぇ」
「何でっ。それ、民子から直接聞いたのかよ?」
視線が一度に集まる。土方さんは、目をそらし肯定した。
「昨晩、あいつが部屋に来てな」
――……‥‥
「土方さん、民子です。失礼します」
「入れ。……何だ?」
「私、明日伊東さんについていきます」
「!?……何だとっ」
「申し訳ありません。皆のこと、嫌いになったとかじゃありませんので」
「なら、どうしてだ?」
「自分の信じるものが分からないんです」
「なに?」
「私が、ここにいるのは皆がいるからでした。でも、だからと言って私自身が幕府に思い入れがあったり、幕府を強く信じるわけがあるかというと、ないんです」
「じゃあ、天皇さんにはあるってのか?」
「近藤さんが、天皇を敬い幕府も大切にする。その考えは嫌ではないんです。でも、私たちに羅刹の実験を命じた幕府に嫌な気持ちを持ってしまったんです」
「……俺達は別に天皇を敵にしてるんじゃねぇ。要はてめぇが新選組に不信を持ってるかどうかだ」
「それは、違います!」
「じゃあ何で伊東についていくんだ!?」
「……それは」
「言ってみろ……。言ってみろよ!」
「そしたらあいつは“執着しているのは新選組でも、幕府でもない。ここにいる仲間。政のことはよく分からないが、伊東や平助に話を聞いて弱い自分はそっちに流された。天皇は神だから、神のために戦う。それが正しい気がした。……平助や斎藤がいるから、一人じゃないと思うと伊東派についていっても良いって思った”だとよ」
信じることが出来ない。民子ちゃんが、伊東派なんて何考えてるの? 何で、誰も気付かなかったの? 僕もだ。
握る拳の中で、爪が食い込んだ。