思想と仲間
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「ああっ、いちいちうるせえんだよ、てめえは。ちっとは黙っていやがれ!」
「なっ!? なんて口の利き方を……。土方君、あなたは……!! あぁ、なんて野蛮な人たちっ。この伊東、こんな方々と一緒になんていられませんわ! 山南さん、あなたの口からちゃんと事情を説明してもらいますからねっ。聞いているんですか、山南さん?」
「……くっ」
伊東さんの我慢もそろそろ限界か。そう思ったとき、山南さんの様子が変わった。
「山南さん……?」
私が呟いた時だ。山南さんは叫び苦しみ始めた。
「下がれ! 千鶴!」
土方さんが声をあげたと同時に、山南さんの髪が白に変わり千鶴ちゃんの手首が掴まれた。その力は強く、ぎりぎりと千鶴ちゃんの手首に食い込んでいる。
「山南さんっ!!」
私の声も、もはや聞こえていないようだ。
マズイ。
そう率直に感じた。
「い、痛いっ……ううっ、山南さんっ!?」
「血……血です。血をください。君の血を私に……」
「い、いやぁ! は、離してくださいっ!!」
千鶴ちゃんの手首から血を掬う山南さんに、皆の動揺は隠しきれない。
山南さんはもう駄目か。そう思ったのか、土方さんが声を張り上げた。
「取り押さえろ! 多少、手荒になってもかまわねぇ」
私も他の幹部同様、刀を抜いた。
「君たち、まさか山南さんを……!? 勝手なことは、この伊東が許しませんわ!」
「まぁまぁ、山南さん。こちらに」
近藤さんが、山南さんを抱えるようにしてその場を離れる。私は、部屋の中を一瞥して刀を収めた。
多分、私がいなくても平気だろう。そう判断し、私は近藤さんと一緒に伊東さんを連れ出した。
「どういうことですの!? 近藤さんっ、北西さんっ貴女まで!」
「……」
「……ちゃんと説明してもらえますわよね?」
伊東さんに、もはや隠し事など出来ない。空き部屋に入ったところで、私が口を開こうとした。
しかし、それは近藤さんによって制止された。目が、話すなと言っている。近藤さんは、一拍おいてから自ら伊東さんに説明をした。
薬のこと。羅刹のこと。それは幕命だということ。内密だということ。山南さんは、薬を飲んだこと。など、全てを伊東さんに話した。
当然、伊東さんは狼狽し憤慨した。そして、そのまま出て行ってしまった。
「……これで、良かったんですかね?」
「仕方がないことだ。伊東さんに、見られてしまった。話す他なかっただろう」
「でも、どうして。どうして、私を制止したんですか?」
「特に理由なんかないさ」
にっこり笑う近藤さん。いつもの優しい顔だ。
「自分が、新選組の局長だからですか?」
「強いて言えば、だな」
「私も知っていたことです。……あれじゃあ、近藤さんが責任を負うみたいで」
そこまで言うと、近藤さんはまたにっこりと笑うだけで何も口にしなかった。
5.山南さん END
次の話へ(P14~)→
「なっ!? なんて口の利き方を……。土方君、あなたは……!! あぁ、なんて野蛮な人たちっ。この伊東、こんな方々と一緒になんていられませんわ! 山南さん、あなたの口からちゃんと事情を説明してもらいますからねっ。聞いているんですか、山南さん?」
「……くっ」
伊東さんの我慢もそろそろ限界か。そう思ったとき、山南さんの様子が変わった。
「山南さん……?」
私が呟いた時だ。山南さんは叫び苦しみ始めた。
「下がれ! 千鶴!」
土方さんが声をあげたと同時に、山南さんの髪が白に変わり千鶴ちゃんの手首が掴まれた。その力は強く、ぎりぎりと千鶴ちゃんの手首に食い込んでいる。
「山南さんっ!!」
私の声も、もはや聞こえていないようだ。
マズイ。
そう率直に感じた。
「い、痛いっ……ううっ、山南さんっ!?」
「血……血です。血をください。君の血を私に……」
「い、いやぁ! は、離してくださいっ!!」
千鶴ちゃんの手首から血を掬う山南さんに、皆の動揺は隠しきれない。
山南さんはもう駄目か。そう思ったのか、土方さんが声を張り上げた。
「取り押さえろ! 多少、手荒になってもかまわねぇ」
私も他の幹部同様、刀を抜いた。
「君たち、まさか山南さんを……!? 勝手なことは、この伊東が許しませんわ!」
「まぁまぁ、山南さん。こちらに」
近藤さんが、山南さんを抱えるようにしてその場を離れる。私は、部屋の中を一瞥して刀を収めた。
多分、私がいなくても平気だろう。そう判断し、私は近藤さんと一緒に伊東さんを連れ出した。
「どういうことですの!? 近藤さんっ、北西さんっ貴女まで!」
「……」
「……ちゃんと説明してもらえますわよね?」
伊東さんに、もはや隠し事など出来ない。空き部屋に入ったところで、私が口を開こうとした。
しかし、それは近藤さんによって制止された。目が、話すなと言っている。近藤さんは、一拍おいてから自ら伊東さんに説明をした。
薬のこと。羅刹のこと。それは幕命だということ。内密だということ。山南さんは、薬を飲んだこと。など、全てを伊東さんに話した。
当然、伊東さんは狼狽し憤慨した。そして、そのまま出て行ってしまった。
「……これで、良かったんですかね?」
「仕方がないことだ。伊東さんに、見られてしまった。話す他なかっただろう」
「でも、どうして。どうして、私を制止したんですか?」
「特に理由なんかないさ」
にっこり笑う近藤さん。いつもの優しい顔だ。
「自分が、新選組の局長だからですか?」
「強いて言えば、だな」
「私も知っていたことです。……あれじゃあ、近藤さんが責任を負うみたいで」
そこまで言うと、近藤さんはまたにっこりと笑うだけで何も口にしなかった。
5.山南さん END
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