思想と仲間
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夜の冷えを感じながら、私は廊下を歩く。喉の渇きを潤し、自室に戻るところだ。
が、その時だった。
「誰か……助けて下さいっ!」
「千鶴ちゃん!?」
悲鳴に近い叫びが、耳に届き身体が勝手に動いた。嫌な予感がする。千鶴ちゃんの部屋まで全力疾走。その途中、誰かの絶叫が耳につく。
何が起こっているのか。とにかく走った。
――そして。
「!?」
千鶴ちゃんの部屋が、血に染まっていた。他の幹部はもう揃っていて、私が最後。
見ただけで、状況が分かってしまう。部屋の中央で倒れる隊士。血は、そいつのものだろう。千鶴ちゃんも怪我をしているところから見ると、この隊士はもう人じゃない。羅刹だったということだろう。
「な、なんなんですか、これは!?」
不意に響いた声に、肩が跳ねる。
伊東さんに見られた――。私は焦った。それは皆も同じで、険しい顔をしている。
「そこの隊士はどうしたんですか!? あぁっ、部屋を血で汚すなんて! 下品なっ! 幹部がよってたかって隊士を殺して……。説明しなさい! 一体、何があったんです!?」
事情を知らない伊東さんの反応は、もっともだ。はたから見れば、隊士を仲間を殺した。そうとしか見ようがない。
甲高い声だけが、響き渡った。
沈黙する一同の中、私の視界の横に何かが入った。目をやると、そこには山南さんがいるではないか。
「皆、申し訳ありません。私の監督不行届です」
「山南さん……!?」
千鶴ちゃんの息を呑むような声。私も、同じように息を呑んだ。
当然、山南さんが死亡したと思っている伊東さんはもっと驚愕しているのだが。
「さ、さ、ささ、山南さん!? な、なぜ、あなたがここに……!!」
「その説明は後ほど。とにかく、この場の始末をつけなくては」
山南さんの言葉に平助が、暴走するのは薬の副作用だから仕方ないと口にする。
馬鹿か。そんなことを言えば伊東さんが――。
「ちょ、ちょっと、どういうこと!? 薬? 一体何の話、山南さん!?」
ほら、やっぱり。
「……この件に関して、お答えできません」
当たり前だ。人ではないものを、人を使い作っていた。幕府の命であれ、普通では考えられない行い。しかも、実験を隊士でやっていたのだ。
伊東さんは、山南さんを睨みつける。
「私は、山南さんは亡くなったと聞かされておりましたのにねぇ。皆して、この伊東を謀っていた、と? この伊東は、仮にも新選組の参謀ですよ? その私に黙ってはかりごとを……。納得のいく説明をしてもらえるんでしょうね!」
一人喋り続けるさまに、ついに土方さんが怒った。
が、その時だった。
「誰か……助けて下さいっ!」
「千鶴ちゃん!?」
悲鳴に近い叫びが、耳に届き身体が勝手に動いた。嫌な予感がする。千鶴ちゃんの部屋まで全力疾走。その途中、誰かの絶叫が耳につく。
何が起こっているのか。とにかく走った。
――そして。
「!?」
千鶴ちゃんの部屋が、血に染まっていた。他の幹部はもう揃っていて、私が最後。
見ただけで、状況が分かってしまう。部屋の中央で倒れる隊士。血は、そいつのものだろう。千鶴ちゃんも怪我をしているところから見ると、この隊士はもう人じゃない。羅刹だったということだろう。
「な、なんなんですか、これは!?」
不意に響いた声に、肩が跳ねる。
伊東さんに見られた――。私は焦った。それは皆も同じで、険しい顔をしている。
「そこの隊士はどうしたんですか!? あぁっ、部屋を血で汚すなんて! 下品なっ! 幹部がよってたかって隊士を殺して……。説明しなさい! 一体、何があったんです!?」
事情を知らない伊東さんの反応は、もっともだ。はたから見れば、隊士を仲間を殺した。そうとしか見ようがない。
甲高い声だけが、響き渡った。
沈黙する一同の中、私の視界の横に何かが入った。目をやると、そこには山南さんがいるではないか。
「皆、申し訳ありません。私の監督不行届です」
「山南さん……!?」
千鶴ちゃんの息を呑むような声。私も、同じように息を呑んだ。
当然、山南さんが死亡したと思っている伊東さんはもっと驚愕しているのだが。
「さ、さ、ささ、山南さん!? な、なぜ、あなたがここに……!!」
「その説明は後ほど。とにかく、この場の始末をつけなくては」
山南さんの言葉に平助が、暴走するのは薬の副作用だから仕方ないと口にする。
馬鹿か。そんなことを言えば伊東さんが――。
「ちょ、ちょっと、どういうこと!? 薬? 一体何の話、山南さん!?」
ほら、やっぱり。
「……この件に関して、お答えできません」
当たり前だ。人ではないものを、人を使い作っていた。幕府の命であれ、普通では考えられない行い。しかも、実験を隊士でやっていたのだ。
伊東さんは、山南さんを睨みつける。
「私は、山南さんは亡くなったと聞かされておりましたのにねぇ。皆して、この伊東を謀っていた、と? この伊東は、仮にも新選組の参謀ですよ? その私に黙ってはかりごとを……。納得のいく説明をしてもらえるんでしょうね!」
一人喋り続けるさまに、ついに土方さんが怒った。