「伊東さん」

「何かしら？」

「他の幹部連中を接待しているそうですね」


単刀直入に告げると、伊東さんは一瞬目を見開いた。が、すぐに微笑し


「私はただ、皆さんの意見を聞いて親睦を深めたいだけですわ」


と答えた。


「……でも、総司には何もしていないそうで」

「沖田君は、そのほらあれよ。彼には、私の言葉は聞いていただけませんもの」


明らかに、総司を避けている発言だ。


「彼は私を嫌っているようですし」

「では、なぜ……なぜ、私は呼んでくれないのですか？」

「え？」

「いえ、まぁ想像はついているんですけどね」


忘れてください、と言い立ち去ろうとした。すると、伊東さんは


「今夜、夕餉の後で良いわ。私の部屋でお茶しません？　北西さん」


と、優しい声色で私の肩を叩いた。







3.接近 END
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