江戸女の一目惚れ
名前変換とあらすじ
この章の夢小説設定【概要】
永倉新八の姉である貴女
は、旅行に来た京で脱藩
した弟と再会する。
江戸女の気質からか行動
が早い貴女は、屯所に向
かうが途中で原田とぶつ
かり――。
【ページ数】
全9ページ
【備考】
・苗字は永倉で固定。
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「そこの子だって、女の子なのに住んでるんですよね?」
視線を向けたのは、さっき新八といた男装した女の子。すると、その場の空気が少し変化した。
「……てめぇ、何で分かった」
「え、声とか仕草とか。男性っぽくないので」
「……」
睨む土方副長に、私も負けじと睨み返す。
そしたら、あの左之助さんが助け舟を出して下さったのだ。
「土方さん。流石にこの時間、女を独り歩きさせるわけにはいかねぇよ」
「だったら、誰かつけりゃあいい」
「普通の旅人だったらそれでいいさ。けどな、女の上に新八の身内だ。そう適当に扱えねぇよ」
その言葉は効果を果たしたのか、土方副長はため息を吐いた。
そして、分かったと諦めたのだ。
私はすかさずお礼を言った。さっきの小柄の少年が、良かったなと喜んでくれた。
そんな中、土方副長は「ただし」と声をあげた。一斉に静かになり注目する。
「原田、てめぇが責任持て。もしそいつのせいで何かあるようなら、てめぇもただじゃすまねぇ」
「な、え、土方さん、それはっ……」
「平助、良い。……分かった、俺が責任とってやる」
その男気というか、態度にますます惚れ込んでしまう。私は、申し訳ない気持ちと心臓の鼓動でいっぱいだった。
「それと、絹枝といったか」
「はい」
「いっとくが、一時的なもんだぞ。家出だか何だか知らねぇが、いつかは出ていってもらう。新八ももう脱藩した身だ。……分かったな」
はい、としか言いようがなかった。脱藩した家族は、例え血は繋がっていてももう他人同然。私と新八の繋がりなんていつでも切れそうなのだ。
土方副長と近藤さんが出ていってから、皆から自己紹介された。名前と顔を一致させながら覚えていく。
そして
「俺は原田左之助だ。宜しくな」
優しい声色でそう言われたことが、私の中でむず痒く残る。
いつもの覇気が、この人の前だと零になってしまうのだ。
「よ、宜しくお願いします……」
かつてないほど、顔が紅潮した気がする。
~END~
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