江戸女の一目惚れ
名前変換とあらすじ
この章の夢小説設定【概要】
永倉新八の姉である貴女
は、旅行に来た京で脱藩
した弟と再会する。
江戸女の気質からか行動
が早い貴女は、屯所に向
かうが途中で原田とぶつ
かり――。
【ページ数】
全9ページ
【備考】
・苗字は永倉で固定。
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――この広い世界で、いなくなった家族がこうも簡単に見つかるか。
だけど、あれは間違いなく新八だ。
そう思って走って近付き、声を上げた。
「新八!! 新八じゃないの!?」
「ん?」
間違いないから声をかける。絶対の自信。
周りの目が一斉に注目する。
振り返ったその顔は、私を見るなり驚きと苦い表情に変わった。
「げ!! 姉ちゃん! 何でここにっ」
私は新八に近付き胸倉を掴んだ。
「何の話もなく脱藩してっ……どこに行ったと思ったら、こんなとこに!」
私の行動に、周りの同じ服を着た男共は引いているように見受ける。が、そんなこと知ったこっちゃない。
「いや、あのな」
「問答無用!」
その時、隣にいた少年が
「あの、永倉さん。こちらの方は……」
と恐る恐るといったように尋ねてきた。
その時、始めて顔を見たのだが少年ではなかったことにすぐ気付いた。
少年のような格好をしているが、声や雰囲気が女の子を表していた。
しかもよく見れば――
「可愛いじゃない!」
「え?」
「何、この可愛い子! まさか、こんな子をたぶらかしてるんじゃ!」
すると新八は慌てたような素振りを見せた。
「違っ、この子はその仲間で」
「仲間!? あんた、何言ってんの! こんな純粋そうな子があんたの仲間!?」
「いや、その……実はさ俺達はこの京の治安を守る新選組で」
知ってるわよ、と豪語すれば新八は一瞬怯んだが説明をする。新八曰く、この女の子は新選組が訳あって預かってる子で一緒に父親探しをしているんだとか。
一通り説明を聞いて私は閃いた。
「成る程ね。で、新選組は組織でしょ? 頭とかいるの?」
「あぁ、局長ってのがいて。俺が脱藩してから世話になってた江戸の試衛館って道場の先生なんだ」
「局長……。分かった。新八がお世話になってるんだもんね。挨拶しにいかなきゃ」
そう言って笑えば、新八は「え」と目を見開いた。
「屯所の場所は?」
「本気で言ってんのか?……止めてくれ。姉ちゃんが行くとややこしいことになりそうだし」
「……屯所の場所は?」
「……」
笑顔で問うても答えない新八。これじゃ埒があかないと私は、道行く男性に声をかけた。
「あのすみません」
「はい?」
「新選組の屯所はどちらにあるんでしょうか? ご存知ですか」
新八が私の名を叫ぶのが聞こえたが、無視。男性は、ちょっと怖がってるような感じをみせながらも「西本願寺ですが」と答えてくださった。
私はお礼を男性に言うと、焦る新八を再度見てにっこり笑い逃亡した。