間接被害~菓子を巡って~
名前変換とあらすじ
この章の夢小説設定【概要】
貴女は千鶴とお茶をしよ
うと、台所のお菓子を漁
っていた。千鶴の静止も
聞かず、貴女はある隊士
のお菓子に目を付けた。
そこから、間接的に別の
隊士へと被害が及ぶ――
。
【ページ数】
全7ページ
【備考】
・不憫な幹部が出てきま
す。
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美和が巡察から帰ってきたのは、それからしばらくしてからだった。平助の顔を見るなり、やっぱりという思いが込み上げてきた。
「ちょ、美和! 左之さんとしんぱっつぁんに嘘吹き込んだだろ!」
「あー、ごめんごめん。やっぱり、申し訳ないと思ったからさ。はい」
「何これ」
「お土産」
平助は、美和からそれ受け取って中身を見るなり、顔を明るくさせた。
「お? 団子じゃん! うまそー!」
「良かったー、んじゃ私はこれで……」
「じゃなくて! 美和のせいで、左之さんに自腹で同じ鯣買ってこいって頼まれたんだけど!」
叫ぶ平助に美和は、えーという顔で振り返る。
「そうなんだ。災難だったね。じゃ、いってらっしゃい」
「いやいや、お前が行けよ!」
「えー……団子あげたじゃん」
それとこれとは別、と怒る平助に美和はため息を吐いた。そして、はいと手を差し出した。
「……何だよ、この手は」
「え、お金ちょうだい」
「はぁ!? 駄目に決まってんだろ!? 俺、関係ねぇし! 美和が食ったんだから美和の金で払えよ!!」
「えー」
「えーじゃねぇよ」
こうして美和は、羽織りを平助に任せて自腹で買いに行くことになった。
――……‥‥
「た、高い」
高崎屋につくと、予想以上に高かった。鯣を見ても、どの鯣だったか分からなかった。
「どれだ? いっぱい似たようなのありすぎて分からない」
「何をお買い求めですか?」
「あ、店の御主人?」
はい、と笑う男性に美和は助かったと息を吐く。
「あの、数日前にこの店で鯣を買った男性がいるんですが……」
「はぁ……」
「えっと、長身で赤っぽい髪で顔は男前で、えーっと……」
それで分かったのか、主人はあぁと手を叩いた。
「もしかして、あの方やろか」
「分かりますか?」
「恐らく、目立つ風貌やったんでうちの看板娘も覚えてると思いますよ」
そう言って、主人は娘を呼んだ。それから奥から出てきた娘に、その人が買った鯣を覚えてるか聞いてみた。
すると、娘はにっこり笑いその鯣を取り出す。
「これでしょうか?」
「え、多分。かなり濃厚な味で、ちょっと辛味の効いたものだったような」
「だったら、これですわ。この手の鯣で、辛味があると言えばこの種類です」
美和は、それが欲しいと言った。しかし、その金額を聞いてびっくり仰天。
(そういえば左之さん、特別報酬金貰ってたからな……それで買ったのかも)
「どうされますか?」
「あ、えっともう少し量を減らして貰えませんか。この所持金で買える量まで……」
財布の中身を全てひっくり返し、美和は何とか鯣を買ったのだった。