間接被害~菓子を巡って~
名前変換とあらすじ
この章の夢小説設定【概要】
貴女は千鶴とお茶をしよ
うと、台所のお菓子を漁
っていた。千鶴の静止も
聞かず、貴女はある隊士
のお菓子に目を付けた。
そこから、間接的に別の
隊士へと被害が及ぶ――
。
【ページ数】
全7ページ
【備考】
・不憫な幹部が出てきま
す。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「美和さんっ、やっぱり勝手には駄目ですよっ」
「大丈夫大丈夫!」
「見つかっちゃいますっ」
女性隊士である美和は、新選組が預かっている雪村千鶴と台所にいた。しかし、ただいるのではない。
お菓子の棚――小腹が減った美和は、そこを漁っていた。
これ自体は問題ではない。では、何が問題で何で千鶴が焦っているのか。
それは、個人のお菓子がここには集まっているからだ。局中法度ではないが、お菓子は自室に置くべからず、という規則のようなものがある。
故に、個人のお菓子も此処に保管されている。それを美和は、勝手に取ろうと言うのだ。
「お、総司の金平糖かな。はい、千鶴ちゃん一粒あげるよ」
「え、でもこれは沖田さんの……」
「良いの良いの。総司は巡察中だし、大丈夫!」
そう言って、美和は一粒だけ口に放り込んだ。千鶴は、戸惑っていたが手に貰ってしまったものは仕方ない。沖田さんごめんなさいと、口に入れた。
「千鶴ちゃん、誰か来てない?」
美和の言葉に、千鶴は台所から外を覗いた。すると、遠くからこちらに向かっている人影を発見し慌てて口を開く。
「さ、斎藤さんが!」
「え、一君? 厄介だな。でも一君だし、丸め込める! 大丈夫大丈夫」
「で、でも隣には井上さんもいます」
衝撃の事実に、美和の動きも止まった。足音は確実に近付いていた。
「よし、隠れよう」
美和は、千鶴の腕を掴むと台所を見渡し死角になりそうなところを見つける。
そこに、千鶴を抱きしめ隠れた。
「あの」
「しっ、静かに」
斎藤と井上の会話が、近付く。そして、何事もないように会話は遠くなって行った。
どうやら台所には用がなかったようだ。
「去ったね。さ、続き続き!」
千鶴と共に出た美和は、再び漁りはじめる。
「やっぱり勝手に漁るのは……」
「大丈夫だって。千鶴ちゃんは心配しすぎ。いざという時は、私が庇うから!」
庇うと言っても千鶴は一切悪くないのだが――。
その時、美和があっと声をあげた。
「どうかなさいました?」
「そういえばね、前に左之さんが鯣を隠すのを見たんだって! 思い出したよ」
「え……それって」
酒の肴じゃ、と千鶴が口に出しかけた時にはもう美和の手に鯣の袋が握られていた。
「大切そうに下の方に入れてたんだよねー」
そこには「高崎屋」と書かれていた。
「何だか高そうですけど」
「うん。高崎屋は、高級肴専門店だからね。新選組の給料の何ヶ月分か……」
「え!? それはちょっと駄目だと思いますっ。原田さんに怒られますよっ」
原田は大の酒好きである。その肴として、贅沢してやっと買い求めたであろう鯣。それを無情にも美和が、食べようとしているのだ。千鶴は、全力で止めに入る。