「おい」

「は、はいっ」

「総司が言ったことは本当か？」


沖田さんが何を言ったのか分からないけど、多分澪さんのことだろう。
私は、多分と言った。


「多分とは、どういうことです？」


山南さんの言葉に私は自らさっきのことを話した。

すると、土方さんは眉間に皺を寄せ他の皆は信じられないものを見るかのような視線を向けて来る。


「嘘吐いてるんじゃねぇよな」

「！？　吐いてませんっ」

「土方さん。千鶴ちゃんは嘘吐きじゃないですよ」


沖田さんが庇ってくれた。


「何でそう言いきれる？」

「だって、ここ数ヶ月。この子見てたら分かりますよ。それに、この子が澪ちゃんを知ってるわけないんですから。名前すら……」

「まぁ、確かにな。知ってるわけねぇよな。千鶴、あいつをどこで知った？」


原田さんの言葉で、皆が注目してくる。私は、その視線に圧倒されながらも口を開いた。


「えっと、初めて会ったのはここに来たばかりの頃で……私が皆さんを廊下から呼んだのも、澪さんの助言で……」

「……それ、本当か？」

「はい」


原田さんが嘘だ、というような顔で確認してくる。
本当に何なのか分からない。もやもやとしたものが胸に渦巻き、私は声をあげた。


「本当に何なんですか！？　私は嘘を吐いていません！」


自分でも驚くぐらいの強気な言葉が出た。
すると土方さんが「あいつは」と言葉を発した。


「お前が来る前に、死んだ」