≪左之視点≫


かつて付き合ってた彼女と再会した。
まぁ、新八とも親友だったし会っても不思議じゃない。

俺は別れたっきり会うこともなかった。だから、久々に会って度肝を抜いた。

美人さ増してやがる……。そう印象受けた。


「あの頃は子供だったなって思う」

「？」

「あのまま付き合ってたら今頃、親と縁切ってでも結婚してたかもね。子供だったから別れることしか考えがなかった」


目の前のことしか見えてなかったと美紗は言った。

新八の結婚式でするような話ではないが、聞いてみることにした。


「何でも話せよ。何かあったんだろ？」


そう告げると、美紗は一瞬目を見開いた。


「左之には何でも分かるんだね。私はずっと左之を忘れられない。だから独身貫いて来た」

「貫いてって……まだそんな歳じゃねぇだろ」

「そうだけど、やっぱり辛い。大人になって親の許可なくても結婚出来る歳になった今、余計に辛くて」


目線を下に向ける美紗の姿に、付き合ってた頃を錯覚する。
こいつと結婚の話を沢山したが、それを昨日のことのように思い出した。