2010.1.1~2010.8.26

『臆病とチキンな私』




誕生日、最近知った。
けどそれはもうすぐで、何で教えてくれなかったのか。と問うと、貴方は真顔で言った。


“何でって……君が今まで聞かなかったんじゃないか”


でも、私は彼が好きで好きで好きで――。
サスケも香燐も重吾も知っていて、知らなかったのは私だけだったって、一体どういうこと!?


「まだ、怒ってるのか?」


誕生日を聞いた数時間後、怒ると無口になる私に、彼は無神経にそう聞く。


「……」

「はぁ……無視を決めるのか」

「おい、あんまり怒らせると後が怖いぞ」

「香燐は黙っててくれるかな」

「何だと!? テメェ、人が心配してやってんのにっ」

「心配? 香燐が?」

「なっ……ち、違う! 誰が心配なんてするか!」


香燐とギャーギャー喚く彼は、やっぱり香燐が好きなのかもしれない。

最近、そう思うようになった。彼は香燐が好きなんじゃないか、って――。

重吾は、そんなことないと言っていたが。


「……水月」

「ん?」


彼の名を小さく呼ぶと、聞こえたのか返事をした。
その顔が、行動が、私を夢中にさせる。


「地獄耳め……」

「は?」

「おい、水月! 話はまだ途中だ! ぁあ゛!?」

「うるさいなー」

「何だと!?」

「……やっぱ、水月なんか許してやんない」


香燐と喧嘩する彼の態度を見て、やっぱり私なんか眼中にないと思う。

サスケに以前、被害妄想はやめろ、と言われたことを思い出せば、これはやっぱり私の被害妄想なのだろうか?


(2月18日……)


彼の誕生日、思い切って聞いてみよう。
それでもし、大丈夫そうなら私は、彼に告白してみよう。

――そう誓った今日は、曇り空。

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掲載期間:2010/2/4~2010/3/1
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