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2016.4.4~2018.3.1

『バテる夏』



「マジで暑い。溶けそうだ」


大きめの石に背を預け、大の字になる飛段は儀式中でも何でもない。
さっきからずっと暑い暑いと連呼していた。


「うるさい飛段。年中、肌を晒しているんだ。脱いだらいい話だ」


隣で金を数えていた角都が耐えきれず提案をする。その手は止まることはない。


「馬鹿野郎! ンなことしたら、肌が焼けちまうだろ!」

「……そんなこと気にする玉か?」

「いや、この前? こいつがシガイセン? それを浴びるとガンになるっつーからよ……」


隣に座っていた私を指す飛段。指をさすんじゃない。


「お前は不死身。死ぬことはない」

「あー……それもそうかァ」


照りつける太陽光の暑さにじりじりと鳴く蝉。
いくら忍といえど、この暑さには参る。


「暑すぎ……」


と思わず呟いた言葉は飛段の耳にしっかりと届いていたらしい。
お前も脱ぐか? というセクハラ発言に馬鹿じゃないのと返す。

それからしばしの沈黙。
真夏の陽炎に包まれ、蝉の大合唱を聞きながらただひたすら待つ。
頭に布を被っているが、まるで意味がない。


「角都ぅーまだかー」


飛段の声が寂しく響いた。
応えはない。


「なぁ。……水遁系の技使えねェの?」


ぼーっとしていたせいか。飛段におい、と言われるまで私に聞いてるとは思わなかった。


「え? 私?」


と口にすればお前以外に誰がいるってんだ、と返された。


「私は火遁忍者です」

「ンだよ、使えねェな」

「うるさいな。変な術しか使えない飛段に言われたくない」


そう言えば、変な術って何だと食い掛かってきたがシカトした。
何か喚いてるが知ったこっちゃない。

あーそれにしても暑い。
早く角都の金数え終らないかなぁ。






――……‥‥

(つか、お前。何で俺たちと行動してんだ)
(それ今更聞く?……暁は今仕事がないんだよ。あんまり)



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掲載期間:2017/7/7~2017/9/6
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