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2015.4.3~2016.4.4

『もうネタが尽きたよ』




「……正直さ」


そっと口を開けば、目の前の青い瞳がこちらを見る気配。
深い森の中、小鳥の囀りが聴こえ柔らかな陽射しが木々の間から覗く。

何の意味のない変な絵を、私が木の枝で地面に書く――その音も微小。


「……もう、ネタがないんだ」


手の動きを止め、顔を上げれば困惑する顔と出会う。


「……は」

「だからさ、ヤバいんだよね」


にっこり笑って見せると、その人物は「はぁああああああ!?」と声を荒げて立ち上がった。
ちなみに今までお互いにしゃがみ込んでいた。


「いきなり現れて何事かと思えば、意味わからねぇってばよ!!」

「だって……」


もう拍手のネタが尽きたんだもん。
今まで絞り出していたのに、絞り出せない。


「拍手って何だってばよォ!?」

「いやサイトの……」

「意味わからねぇし! っつうか! 俺は忙しいだ! 年中暁なのに暁らしくねぇお前に付き合ってる暇なんてないんだ!」


そっぽを向くこの少年。
もうお気づきだろう。そう、うずまきナルトである。


「いや、自分でも反省してるよ? 大好きな飛段ばっか拍手に登場させちゃってるから、本来の短編でやるはずの飛段夢のネタが思い付かないなんて! 絞り出して拍手だからね!」

「だーかーらー! 拍手って何なんだよ!? 手でも叩いてりゃ良いだろ!? 拍手一つにネタって何のことかさっぱりわかんねぇ!」

「とりあえず面白い話があればいいの」


私も立ち上がるとうずまきナルトの両肩に両手を置いた。


「飛段はもう付き合ってらんねーって言うから、こうしてわざわざ砂漠を駆け抜け、町を駆け抜け……君に会いに来たのさ!」

「あー分かったから、もう帰って良いから」

「何でそんなにめんどくさそうなの!?」


肩をがくがく揺らしてみる。


「や、やめろってばよおおおお!」


あ、逃げられた。
――木の上に逃げたうずまきナルト。


「ちょっと! 君がネタを提供してくれないとマジでヤバいんだって!」

「俺はそんなの提供するつもりはねぇ! 俺は忙しいんだ!」

「ネタぁあああ!」

「うぉっ! ちょっ、クナイ投げるとか! 俺なんもしてねぇだろ!」

「九尾よこせぇええええ!」

「ぇえええ!? いきなり!?」


こうして何か知らないけど、鬼ごっこが始まったのである。






――……‥‥

(ん? 飛段、暇そうだな、うん)
(あー、暇じゃねェよ)
(いや、どう見ても暇そうだろ。まぁいい。今月はあれ、やらなかったのか?)
(あれ?……あぁ、あれだろ? 拍手がどうとかいう。何つーかオレも休みたいんだよなァ。二か月に一回、ネタ提供疲れるんだぜ? もうないっつーの)
((こいつは存在そのものがネタなんじゃねぇのか? うん))



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掲載期間:2015/4/3~2015/6/9
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