2014.4.4~2015.4.3

『万屋、仕事完了』




捕らえた男はサソリが殺した。助けると言ったのにさ。
私が目を離した隙に……。

そんなこんなで東ノ神社についたのは、申の刻
。陽も傾き始める頃、私が一人で待ち合わせに向かうことにした。
サソリが陰から見守る中、私は一人箱を持って神社に入った。
山奥の神社なだけあって、人があまりいない。しかし一人だけ――社の横に立っている男がいた。

向こうもこちらに気が付いたらしい。目が合うと直感した。


「貴方がえーっと……レイヤさん?」


依頼メモを見ながら聞くと、相手の男は頷いた。


「遅かったね」

「ごめんなさい、ちょっとトラブルがあって……」


そう言いながら箱を相手に差し出す。


「これこれ!」


男は喜びながらも、箱をその場で開けた。

――先程壊した、鉛の入れ物はサソリが責任を持ってくっつけたので開けたことはばれていないはず。(流石)


「アンタもどう?」


中身を取り出して差し出す男。まさか勧めてくるとは思わなかった。


「……何それ」


中身を知っているのもおかしいので、あえてそう応えた。


「アー……でも、万屋の姉ちゃんには関係ねぇもんか」

「……」

「これはな、チャクラを増すもんだ」

「……それ、いつも?」

「皆使ってるよ。俺みたいなやつはさ」


そう言って、男は箱の中に物を戻すと再び箱を閉めて担いだ。


「じゃあ、ありがとよ」


男はそのまま神社の出口から出て行った。そして、姿が見えなくなったところで気配が消えた。


「……火ノ国には物騒なものが出回ってるのね」

「……」

「でも今の、砂の忍っぽいね」


振り返ると、サソリが無言でこちらを見ていた。


「砂が火ノ国で取引しているのか、それとも――」

「そんなことは俺達には関係のないこと。行くぞ」


――その後、特に気になる仕事はなく数か月のうちに私とサソリの任務は終わった。






――……‥‥

(ということで、それ以外は特に何も……)
(……)
(あの、リーダー?)
(あとは角都と飛段に任せる)
(え、あの二人ですか?)
(金になる。火ノ国の調査からやってもらう)(ええー……角都はともかく飛段にやらせるんですか?)
(こういうのは、イタチと鬼鮫が向いている。だが、あの二人は火ノ国に精通はしているが、顔が知られている)
(……そうですか)



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掲載期間:2014/10/1~2014/12/3
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