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2013.1.2~2014.4.4

『理想じゃなくても好き』




「今何時?」「七時だよ」
「お帰り」「ただいま」
「おやすみ」「おやすみ」


そんな会話が好きだった。好きというか、理想だ。
でも、現実は遥かに違う。いやもしかしたらもっと理想に近い人がいるかもしれない。だけど、この男に「オレと付き合え!」と言われ何故か頷いてしまったのだから引き下がれない。

私の彼氏である飛段は、今日も早朝から任務に出る。隣で寝ている私を気遣うこともなく、大きな音(鎌とかネックレスとか足音とか)を立てて準備するから目が覚めた。
外を見ると、まだ暗い。


「ちょ、今何時?」

「あ? 自分で見ろ」


いつもこんな感じ。
「お帰り」と言っても「疲れた。寝る」と、すぐ横になる。
「おやすみ」と言っても返ってくることはない。たまに返ってくるとすれば「あぁ」の一言。

正直、オレと付き合えっていうくらいだから私のこと好きで言ってるのかと思った。でも飛段は、多分だけどただ彼女という存在が欲しいだけ。そんな気さえするときがある。

でも――
“ときがある”ということは、そうでないときがあるわけだ。
それが堪らなく幸せ。


「飛段ー……もうちょっと静かに準備してよ」

「ァア!? 仕方ねぇだろ、オレは急いでんだ」

「……」


寝返りを打てば、準備を終えて部屋から出ようとする飛段の姿。私はその瞬間を狙って口を開いた。


「帰ってきたら、一緒にお風呂入ろうね」


バタン、と戸が閉まる。
――数秒、飛段が戸から顔を覗かせ


「忘れんなよ?」


綻ぶ顔を抑え切れてない飛段は、そのまま任務へ行った。

何だかんだで私の話を聞いてはいる飛段が愛おしい。ちょっと変わってるかもしれないけど、そこが好き。





――……‥‥

(角都ぅうううう!! 聞いてくれよぉおおお)
((あ、叫んでる……))
(そんなこと言うなよォ、オレ早く帰れるように頑張るから!)
((……飛段、可愛い))
(分かってるぜェ! 首が飛んじまうくらい超頑張るからなァ!!)
((……馬鹿なの?))
(さっさと行って終わらせようぜェェェエエ!)
(うっせぇな、飛段! 廊下で叫ぶんじゃねぇよ!! オイラの芸術活動の邪魔すんな!!)
((私はうるさい飛段も好きだけどね、ふふ)



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掲載期間:2013/3/9~2013/4/4
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