2012.1.1~2013.1.1
『視える女と暁』
私は、小さい頃からその――視える。
何がって、人間ではない存在。いや、存在というのは変だ。彼らは存在しないもの。でも、かつては存在していた。
そう、霊となってさ迷う。
「うわっ」
「ん?」
「あ、ごめん。何でもない」
暁の皆にも言ってないこの力は、時に不思議がられる。今も、デイダラが何だというような目で見てくるから私は笑って誤魔化した。
任務となると、人を殺すこともある。特に私たち暁は、目的が目的なだけに殺しが多くなる。
デイダラは自分が憑けて帰ってきたことも知らず、肩が痛いなとぼやいていた。サソリの尾に肩をバシバシ叩かれていたが、肩に乗った奴をすり抜けている。
サソリ自身にも、傀儡にした人の魂が付き纏ってる。
私は、ため息を吐いてその場を後にした。
「今帰ったぜェー!」
アジトに響くは、飛段の声。大方、角都と一緒に賞金首を換金して金が貯まったからアジトに置きに帰ったという感じだろう。
「お帰りー……っ!」
ミ チ ャ ッ タ
「どうしたー? あ、分かったぜェ。オレがカッコイイから見惚れたんだろー?」
「ち、がうし……」
ヤバい。肩が重い。というか空気が重い。
「飛段、変なこと言ってないで行くぞ」
「あー、待ってくれよー角都ぅ!」
通り過ぎた角都を追いかける飛段。あいつは、鈍感なのか?
角都がいなくなったことによって、私は軽くなる。
「っ……最悪」
完全に向こうに気付かれた。目合ったし。睨んでたし。
そうやって思い出すのは、角都に背負われた男のこと。勿論、生きた人間じゃない。恐らく、角都が殺った賞金首だろう。
あの不死コンビは、殺しが特に多い。飛段なんか祈りのために殺してる。だから、いっぱい憑いてることが多い。
だが、飛段は元気で鈍感でアホっぽい。プラスエネルギーが働いているからか、霊が呆れるのか、ジャシン様とやらのお陰なのか、いずれにせよ飛段に憑いた霊は数日の内に消える。
問題は角都だ。中々とれない。それでも最終的にとれるのは飛段がいるからだと思う。飛段の影響が角都に多大なものを与えている。そう見て間違いなかった。
「何を見ている……」
「いや、なんも」
「貴女、よく私たちのことをガン見しますねぇ」
一方、イタチと鬼鮫には憑いてこない。理由は簡単に分かった。
霊は、イタチが怖いからだ。写輪眼は霊が視えるものではない。しかし、全てを見透かすような眼が、霊を遠ざけているのだ。
鬼鮫もその影響を受けているが、顔が顔だからな――怖いんだよ。
二人と生前戦って死んだものは、二人の怖さを知っている。もう二度と近付きたくないという思いをするのかもしれない。
飛段がよく言っている「中途半端な殺し方はよくねェ」
ジャシン教の教えなのかもしれないが、それは間違っちゃいない。
「任務ダ」
「ゼツ……私に?」
「アァ。飛段ト角都ト行ッテコイトノコトダ」
うわっ、と嫌な顔をする私。行きたくない、激しくあの二人とは行きたくない。そう思ったが、リーダーの命令だし任務だから仕方ない。
絶対に私、憑かれないようにしなきゃ。そう思って、私はトボトボと二人がいる場所を目指した。
「あの子の背中、何かいるよね」
「黙ッテイロ、コレカラモット増エル……」
「角都のせいでね。でも飛段いるから多分大丈夫かな」
そんな会話を私は知らない。
――……‥‥
(飛段ー角都ー任務だy……ぎゃぁあああああ)
(どうしたんだァ!?)
((チカヨルナ……))
((首絞められて……っ))
(おい!どうしたら良いんだァ!?)
(とりあえず、こいつを外に連れていくぞ。手伝え、飛段)
□■□■□■□■□■□■
掲載期間:2012/8/1~2012/10/3
私は、小さい頃からその――視える。
何がって、人間ではない存在。いや、存在というのは変だ。彼らは存在しないもの。でも、かつては存在していた。
そう、霊となってさ迷う。
「うわっ」
「ん?」
「あ、ごめん。何でもない」
暁の皆にも言ってないこの力は、時に不思議がられる。今も、デイダラが何だというような目で見てくるから私は笑って誤魔化した。
任務となると、人を殺すこともある。特に私たち暁は、目的が目的なだけに殺しが多くなる。
デイダラは自分が憑けて帰ってきたことも知らず、肩が痛いなとぼやいていた。サソリの尾に肩をバシバシ叩かれていたが、肩に乗った奴をすり抜けている。
サソリ自身にも、傀儡にした人の魂が付き纏ってる。
私は、ため息を吐いてその場を後にした。
「今帰ったぜェー!」
アジトに響くは、飛段の声。大方、角都と一緒に賞金首を換金して金が貯まったからアジトに置きに帰ったという感じだろう。
「お帰りー……っ!」
ミ チ ャ ッ タ
「どうしたー? あ、分かったぜェ。オレがカッコイイから見惚れたんだろー?」
「ち、がうし……」
ヤバい。肩が重い。というか空気が重い。
「飛段、変なこと言ってないで行くぞ」
「あー、待ってくれよー角都ぅ!」
通り過ぎた角都を追いかける飛段。あいつは、鈍感なのか?
角都がいなくなったことによって、私は軽くなる。
「っ……最悪」
完全に向こうに気付かれた。目合ったし。睨んでたし。
そうやって思い出すのは、角都に背負われた男のこと。勿論、生きた人間じゃない。恐らく、角都が殺った賞金首だろう。
あの不死コンビは、殺しが特に多い。飛段なんか祈りのために殺してる。だから、いっぱい憑いてることが多い。
だが、飛段は元気で鈍感でアホっぽい。プラスエネルギーが働いているからか、霊が呆れるのか、ジャシン様とやらのお陰なのか、いずれにせよ飛段に憑いた霊は数日の内に消える。
問題は角都だ。中々とれない。それでも最終的にとれるのは飛段がいるからだと思う。飛段の影響が角都に多大なものを与えている。そう見て間違いなかった。
「何を見ている……」
「いや、なんも」
「貴女、よく私たちのことをガン見しますねぇ」
一方、イタチと鬼鮫には憑いてこない。理由は簡単に分かった。
霊は、イタチが怖いからだ。写輪眼は霊が視えるものではない。しかし、全てを見透かすような眼が、霊を遠ざけているのだ。
鬼鮫もその影響を受けているが、顔が顔だからな――怖いんだよ。
二人と生前戦って死んだものは、二人の怖さを知っている。もう二度と近付きたくないという思いをするのかもしれない。
飛段がよく言っている「中途半端な殺し方はよくねェ」
ジャシン教の教えなのかもしれないが、それは間違っちゃいない。
「任務ダ」
「ゼツ……私に?」
「アァ。飛段ト角都ト行ッテコイトノコトダ」
うわっ、と嫌な顔をする私。行きたくない、激しくあの二人とは行きたくない。そう思ったが、リーダーの命令だし任務だから仕方ない。
絶対に私、憑かれないようにしなきゃ。そう思って、私はトボトボと二人がいる場所を目指した。
「あの子の背中、何かいるよね」
「黙ッテイロ、コレカラモット増エル……」
「角都のせいでね。でも飛段いるから多分大丈夫かな」
そんな会話を私は知らない。
――……‥‥
(飛段ー角都ー任務だy……ぎゃぁあああああ)
(どうしたんだァ!?)
((チカヨルナ……))
((首絞められて……っ))
(おい!どうしたら良いんだァ!?)
(とりあえず、こいつを外に連れていくぞ。手伝え、飛段)
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掲載期間:2012/8/1~2012/10/3