2012.1.1~2013.1.1

『七夕伝説よりも哀しい結末』




一年に一度しか会えない織り姫と彦星は、今年もまた会うのだろうか。それが悔しくて、妨害してやりたい。


「下らないことを言ってないで、働け」


イタチの鋭い視線が向けられる。下らない、の一言で片付くなら私の心はきっと偽物。


「下らなくない……。織り姫と彦星は、罪のせいで離れ離れになった。それでも、一年に一度だけは会える。こっちは……もう二度と会えない」

「罪の重さが違う」

「何で? 意味わかんない。私たちは確かに抜け忍で、人を殺めてきた。でもそれは、忍里も同じ。任務のために人を殺める。私たちも、任務で殺める。違うと言えば、こっちは抜け忍。……抜け忍のどこが悪いのよ。抜け忍が悪だなんて、決めたのは人間であり里」


そこまで言うと、イタチは私の手を掴み立ち上がらせた。


「っ、何すんのよ!」

「あいつは死んだ。生きている空の恋人たちとは違う」

「死んでない!」

「……」

「死ぬわけない……」


それでも二度と会えない。織り姫と彦星のように会えない。
本当は分かってる。イタチの言う罪の重さの違いも、織り姫と彦星の話とは次元が違うってことも。

――ただ、一年に一度も会える彼らに嫉妬している自分がいるってことも。


「……いくら想っても、もう会えないだから」


無言で見つめるイタチに、言ってやった。やがて、イタチはそっと手を離し呟いた。


「それが忍の定めだ」


あの頃、任務もせずに過ごしていたら今頃は、一年に一度だけは彼に会える生活だったのだろうか。
それをせず、任務をこなし働いていた私たちは二度と会えなくなった。

やっぱり、織り姫と彦星が憎かった。




――……‥‥

(一年に一度とは言わないから)
(もう一度だけ)
(彼に――)
(飛段に、会いたいんです)



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掲載期間:2012/7/1~2012/8/1
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