2011.3.1~2011.12.31

『その恋のキューピッド、自己満足女につき』




物陰から、いつもの如くナルトを見ている一人。私は、後ろから声をかけた。


「ヒーナタッ!」

「きゃっ」


そんなことは、予想していなかったのだろう。可愛い反応を示してくれる。


「びっ、びっくりした」

「ごめんごめん。でも、いつも見てるだけ……それで良いの?」

「っ……それは」


恋心というのは、女を可愛い生き物にする。気が付けば、私は胸をたたいていた。


「私に任せなさい!」




――……‥‥

帰宅するナルトをつけていく。勿論、気配を消して。
木葉を救った英雄だから、見つかってしまうかもしれない。そう思ったが、意外も気付かれることはなかった。

瞬身の術で、ナルトが家に入っていく後に続いた。そして、玄関で早々に


「ナルト……」


と耳元で呟けば、彼は叫び部屋の中まで後ずさった。


「な、な、な、な、なっ」


何でいるのか。そう聞きたいのかもしれないが、言えていない。だから、私は勝手に話しはじめた。


「びっくりした? ごめんね。けど、どうしてもナルトに用があって」


やっと私の意図を理解したらしく、落ち着いてきたようだ。
用事って何だってばよ、と聞いてくる。


「今すぐヒナタのところへ、Let's go!」

「……は? 何でヒナタ?」

「デートして来い」


唐突に話す私に、事情を呑み込めていない様子であった。しかし、私もそこまで親切ではない。
場を整えることだけで、十分である。


「デ、デ、デ、デート!?」


その真っ赤になる顔に、私はお構いなしに行動した。ナルトに、愛用のガマ財布を持たせ、首根っこを掴み外に出す。
玄関の戸に施錠して、鍵を渡す。


「じゃ、いってらっしゃい」


最終的にナルトを掴み、投げた。サクラ並の力を発揮して。

私は満足し、大手を振って帰路に着いた。




――……‥‥

(ヒナタ……)
(ナ、ナルト君!? 何で空から!?)
(なんか……投げられ、たってばよ。ヒナタと、デートして来いって、言われた)
(っ!?)――バタン。
(え? ヒナタ!? 大丈夫か



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掲載期間:2011/12/1~2012/1/1
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