2011.3.1~2011.12.31

『命日より誕生日』




「こちらのビンゴブックでは1人いる」

「いいや、4人だ」

「1人だ」

「4人だ!」

「……オイ、何話してんだ?」


何やら角都と、最近オレ達の前に現れた女が言い合っている。女の名前は――忘れた。


「近隣にいる、賞金首の数だ」

「え、今月誕生日の人数でしょ?」

「は?」

「え?」


食い違う話。何をどうすれば、こんな食い違いが出るのか分かんねぇけど、お互いポカンとしている。(角都は分かんねーけど、オレにはそう見える)


「今月の誕生日の人の人数……」


ポツリと呟く女に、角都は嫌そうな顔をしてどっか行った。
するとやはり、女はオレの方に来た。


「飛段ー」

「ンだよ」

「暇」

「…………オレも」


こんな、つまんねぇ場所に一人でいてもつまんねぇから、オレは女を話し相手に選んだ。


「で、今月は誰の誕生日なんだよ?」

「え?」

「だから! 誰の誕生日かって聞いてんだよ」

「え、あ、んーとね!」


いつものオレだったら、この女に話を持ち出すなんざしねぇのに。
今日のオレ、どうかしてる。


「こっちの情報じゃ、2日に木の葉隠れの五代目火影。10日に、木の葉のヤマト隊長で、15日には角都の誕生日。23日には……」

「オイ、ちょっと待て。15日、角都なのかよ?」

「うん。知らなかったの?」


暁にいた以上、他人の生まれた日なんて、知ったこっちゃねぇからな。
まァ、それをこの女に言ったところで、どうこうなるわけじゃねぇけど。


「まぁな。んで、23日は?」

「23日は、砂隠れのテマリ」


そこでオレは思った。何で、こんな詳しいのか、と。だから、率直に聞いた。
そう簡単には答えてくれねぇと思ったが、この女はあっさりと教えてくれた。


「だって私、木の葉出身の忍だもん」

「……マジかよ?」

「うん」


微笑む女に、不覚にもドキッとしてしまった。こいつもこと、もっと知りてぇ。
そう思う、今日のオレはホントどうかしてる。




――……‥‥

(ハッピーバースデー、角都)
(なぁ、お前。何で死んだの?)
(え、殺されたの。奈良シカマルってやつに。私が抜け忍になったから)
(マジで!? オレも、アイツに殺られた)
(本当に!?)
(あぁ。……なぁ、アイツの誕生日に化けて出て、脅かそうぜ! オレ達からの盛大なプレゼントだ)
(それ、ナイスアイデア! シカマルは来月2日だよ)
(よっしゃ!! 準備するぜ!! おぅ、角都。オメデトサン。それから、死んでも金金金って止めろよなー)
(…………)
(それより、お前。名前教えろよー?)
(ぇぇえええ!? 今更!?)
(おぅ、忘れた)


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掲載期間:2011/8/1~2011/9/1
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