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2011.3.1~2011.12.31

『つかの間の休息』




「暑い……」


ジリジリと照り付ける太陽に、暁の黒い服装は苦だ。
まだ、七月だというのにこの暑さ。

こんな中、組織の目的・人柱力捜しや、組織の資金を得るための賞金首捜しをするなど、正直嫌なのだ。

しかし、普段は一緒に行動しない不死のグループに“嫌”とは言えない。言えるわけない。


「水を飲め」


そう言って差し出されたのは、水筒に入った水。

――角都が神に見えた。


「ありがとーっ角都!」


咄嗟に受け取り飲むと、それは冷たい水だった。どうやら、氷が入っていたようだ。

この水で、凄い助かった。


「あーっ!」


そんな私を見て、角都の相方・飛段が声を上げた。


「水とか良いな、オイ。角都ぅーオレも暑い!」

「お前は水などなくても死なん」

「ハァ!? ちょ、オレ干からびちまう!」


確かに、この暑さは水なしではキツイ。いくら飛段が不死とは言え、いくら裸に近いとはいえ、水なしは――。


「しょうがないなぁ……私が貰った水あげるよ」

「ホントか!?」


私の好意に彼は目を輝かせた。


「うん」

「あんがとなァー!」


そう言うと、私の持っていた水筒を奪い取り飲みはじめた。
しかし、飛段の動きが飲みはじめて直ぐに停止した。


「……」

「どうしたの?」


聞いても、彼は無言だった。


「ねぇ! どうしたの!?」

「なぁ……」

「ん?」


やっと飛段が言葉を発した。
だが、次の瞬間――。


「大好きだぜェ!!」


何を思ったのか。ギュッと抱きしめられたのだ。


「暑い!!」


この炎天下だ。暑いに決まってる。
私は飛段を突き飛ばした。

が、そこは川の辺で飛段は川に転落した。

バッシャーン、と音を立てて水しぶきがあがる。


「!(ヤバッ)」


まさか川に落ちるなんて思ってもなかったので、焦ってしまった。
しかし、飛段は逆に気持ち良さそうだった。


「すっげー、気持ちいぜェ!!」

「馬鹿か、アイツは」


角都は、そうは言うものの、そっと近くの石に腰掛けた。


「角都?」

「この暑さだ。少しここで休む」


こうして、角都承認の上、私たちは休息をとることにした。
飛段は川で遊んでいる。


「飛段ー、気持ちい?」

「おぉ、お前も入れよ!」

「じゃあ、足だけ……」

「オレみたいに、身体ごと入った方が良いぜ?」

「女は、男とは違うのよー」

「?」


足だけつけても、ひんやりして気持ち良かった。


「この水、飲めるかなァ?」

「いや、まぁ汚くはないと思うけど……。汚くても、飛段は死なないから飲んでも平気でしょ」

「ゲハハハ! そうだなァ、でも腹壊すかもなァ」


何気ない会話が楽しかった。


「あーあ、いっそ裸で泳ごうかなー。あ、お前も裸で泳ぐかァ?」

「……死ね!」

「ゲハハハハ!!」


無邪気に笑って遊ぶ飛段は、本当に純粋で。何で暁にいるんだろ、と思う。
純粋で悪で、でも何か違うって言うか――不思議だった。


「……行くぞ」


休息も十分だろうか、角都は判断し立ち上がる。


「だね」

「ハァ!? まだ良いじゃねぇーか!」

「遅れている。これ以上は無理だ」

「チッ」


こうして私たちは、再び歩みだしたのだった。




――……‥‥

(ねぇ、あの時何で止まったの?)
(あの時、って何だよ?)
(ほら、私があげた水を飲んだ時)
(!)
(ねぇ、何で?)
((気付いてねぇのか?……間接ちゅー))
(ねぇ!)
(……間接キスだ)
(へ?)
(なっ、ちょ、テメェ角都っ……!)


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掲載期間:2011/7/1~2011/8/1
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