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2010.1.1~2010.8.26

『期待されたプレゼント』




――今年こそは、ちゃんと渡すんだ。

そう宣言すれば、隣にいた鬼鮫が反応した。


「誰に何を渡すんです?」

「イタチに誕生日のプレゼント!」


そう答えれば鬼鮫はあぁ、と思い出したように口にした。


「昨年は誕生日を2ヶ月過ぎた頃にイタチさんの誕生日を知ったんでしたっけ」


鬼鮫の言う通りだった。
同じ暁のメンバーであるイタチに誕生日を聞いたのが、昨年。
教えてくれたものの、既に誕生日は過ぎていたのだ。

だから、今年こそちゃんとしたプレゼントを渡したい。それが私の望むことだった。

この日のために用意したプレゼント――気に入ってくれるかな?


「あ、イタチさんが帰ってきましたよ」

「!」


鬼鮫がそう言うと同時に、イタチの姿を目にした私。
何処へ行ってたの、と聞いてみると“少しな……”とはぐらかすのは、いつものこと。

いつもはそれで終わりだが、今日は渡すものがある。
イタチの許へそっと、歩み寄った。


「何だ?」

「これ……」

「?」

「お誕生日、おめでとう!」


妙な緊張が襲うが、それも一瞬。
イタチは私のプレゼントを素直に受け取ってくれたのだ。

見ると、彼はフッと笑って


「今年は、お前ではないのか……」


と言った。
え、と聞き返せば


「いや、何でもない。ありがとう」


と言って、イタチは自室に戻った。
任務だったのか、疲れているらしい。

イタチが言った“今年は、お前ではないのか……”の意味が分からなかったので、考えてみた。
すると、一つの記憶が脳裏に蘇った。


“気にするな。プレゼントは、お前で良い”


――カァッ、と真っ赤になる私が思い出したのは昨年、誕生日を聞いたときに彼に言われた一言だった。

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掲載期間:2010/6/4~2010/7/5
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