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「あー！　クソリーダーに怒られちまったじゃねェか！！」

「貴様の長い儀式とやらのせいだ」

「侮辱すんのかァ！？　テメェが、賞金首追うから人柱力も逃がしちまったんじゃねェか！」

「人柱力を追って逃がしたのはどこのどいつだ」


喧嘩する飛段と角都に、夏美はオロオロしていた。

事は、賞金首を見つけたところから始まった。歩き続け、やっと見つけたのであるが運が良いのか悪いのか、賞金首と人柱力が一緒にいたのだ。

賞金首だけならともかく、人柱力と一緒では流石の二人も一対一にしか持ち込めなかった。
挙げ句、賞金首と人柱力は別れてそれぞれ角都が賞金首を、飛段が人柱力を追った。夏美は、隠れていたのだが。

しかし、飛段が人柱力を逃してしまったのだ。一方、角都は賞金首を捕まえるまでに至ったが、飛段が逃した人柱力が来て賞金首を助け、逃げたのである。


「仕方ねェだろ、あの人柱力は素早かったんだよ！」

「貴様が、ノロマなのだ」

「ハァ！？」


激怒する飛段に、角都は思いっ切り睨みつけ「貴様が不死身でなければ、今頃あの世だ」と立ち去った。


「角都！　逃げんのか！？……チッ」


賞金首と人柱力、両方逃がしペインに説教されたことに飛段は腹を立たせていた。


「……見てんじゃねーよ！」

「っ、ごめんなさい……」

「八つ当たりしないの」


何もない空から声が聞こえた。


「うっせぇ」


どこからともなく、紙の蝶が現れて形作っていく。


「……夏美、足が痛いか」

「え？」

「張っている。飛段、この子をどれだけ歩かせた？」


今日はよく睨まれる日だ、と飛段は顔を背けた。


「角都に言えよ」

「質問に答えろ」

「ずっとだよっ、オレは知らねェからな！　角都は休むのは時間の無駄って考えだからな」


すると、小南は顔を顰めて夏美のふくらはぎを撫でた。


「子どもの足でよくついて行けた。……飛段、貴様はこの子の親だ。責任を持て」


その言葉に、飛段がついに声をあげた。


「責任だと！？」

「そうだ」

「ふざけんじゃねェ！　勝手に連れて来たのは、あのクソリーダーとテメェだろーが！……大体、今回のことだって全部こいつのせいだ！」


夏美は、肩を震わせた。小南は、飛段を呼び止めようと試みるも彼は止まらなかった。


「テメェのせいで、人柱力も賞金首も捕まらねェし角都も機嫌が悪い。はっきり言って……」

「飛段！」

「テメェは邪魔なんだよ！」


その瞬間、紙が飛段の身体を拘束する。夏美を後ろに庇い、飛段を睨みあげる小南は、鬼のような形相だ。


「飛段、本気で言っているのか」


頭を冷やせ、と一言告げると飛段の身体は雨が降る外に放り出された。
文句を叫んでいたが、小南は夏美を連れて奥に引っ込んだ。