里と宗教
名前変換とあらすじ
この章の夢小説設定【概要】
任務と温泉の後の話
。再び、湯隠れの里
に来た貴女と飛段。
そこで飛段の口から
語られる、過去の話
。そして――。
【ページ数】
全9ページ
【備考】
※[#book=12:c=5#]と同じ
設定。↑は読まなく
ても大丈夫です。
※三人称。
※公式+捏造+作者
の考えた設定でお送
りします。
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前回、湯隠れの里に飛段と侵入した美奈穂。しかし、里の者に侵入がバレてしまい、名物である温泉に浸かれなかったと嘆いていた。
そこで、美奈穂は久々に訪れた休暇を使って行くことにしたのである。
里に行くのを嫌がる飛段を、無理矢r――説得し、こうして二人でやって来たのである。
飛段は、最初こそ渋っていたのだが美奈穂と来るのは満更でもない様子だった。
飛段のオススメで、里の名湯をいくつか入って回ることにした。そして、ある程度入ったところで美奈穂が音を上げた。
「ひ、飛段……も、無理……」
「ハァ!? まだ、ちょっとしか回ってねぇよ」
「ちょっと!? こんなの、ちょっとじゃないよ!……何でこんなに多く回れるの? 私はもう、いいわ。逆上せそう」
温泉に入り慣れている、温泉マニアや湯隠れの住人でない美奈穂にとって、長時間の熱いお湯は辛かった。
「女は長風呂だからなァ」
「いや、あんたが早すぎんのよ」
「ちょっと、休むとするか……」
飛段に連れられたどり着いた先は、甘味処であった。
「いらっしゃいませー」
いかにも温泉でツルツルになりましたよ、っていう御老体や観光客が溢れかえる店の中。出迎えてくれた店員も、温泉の力か――美人でキラキラしているように美奈穂は見えた。
「お二人様ですか?」
「あぁ」
「では、こちらへどうぞ」
いやはや。これってデートみたいだ、と美奈穂は思ったが口にするのは恥ずかしいので黙っておく。
「御注文がお決まりになりましたら、お呼び下さい」
お品書きを渡し、去っていく店員。そして近くのおばあちゃんが、それを呼び止める。
「……凄い繁盛してるね。店員さん、忙しそうだ」
「あ? あぁ、ここはな昔からある店なんだがいつも繁盛してるぜ」
「そうなの?」
「オレも、餓鬼の頃よく来てたけど里の中で一番上手いと評判だったわ」
(あれ、おかしいな。飛段がかっこよく見えるんだけど……)
目を何度も擦る美奈穂に、飛段は首を傾げるも、そこは曖昧に誤魔化したのだった。
「オレ、これにするわ」
飛段が指したのは、定番・団子だった。
美奈穂は、どれにしようかと迷いお品書きを隅から隅まで見る。
「温泉タマゴとか、置いてあるんだね」
「まぁ、こういう里だしな」
「んー……じゃ、私は抹茶饅頭で」
「んだよ、タマゴにすんじゃねぇのかよ。っつか、チョイスが角都みてぇだなお前」
「良いでしょー! 好きなんだし」
こうして、二人は店員を呼んだ。
――……‥‥
もはや、順番待ちが出るほどの人気だ。外まで、人が待っている。
美奈穂は、少し焦った。それは、あの飛段にも分かる変化だったようで
「んな、焦るんじゃねぇよ」
と指摘される。
「や。だってさ、待ってる人のために早くしなきゃと思って」
「はぁ……別に良いだろ、居酒屋とか時間かかるもんじゃねぇし。これは、あー、何だ。おやつ、っつーか? だから、大丈夫だろ」
「でも……」
「あーもう! ごちゃごちゃうるせぇんだよ。待ってる奴らも、待つって分かってて並んでんだ。食べてる間は気にするこたぁねぇよ」
まさか、飛段に説得にこれほど感化される日が来ようとは、思ってもみなかった。美奈穂は、目を見開いて固まった。
「どうした、美奈穂?」
「あ、いや。飛段がいつもと違う人に見えて…………いつもの、キャラ作ってる?」
「ハァ!?」
んなわけねぇだろ、と言う飛段に苦笑するしかなかった。
「ってか、これ美味しい」
「だろ? ここのは何頼んでも、ハズレはねぇからなァ」
「うん、ありがとね。飛段」
「!」
突然、美奈穂からのお礼の言葉。それに対し、照れ臭いのかそっぽを向く飛段は心なしか赤い。
「……あれ?」
そんな飛段を差ほど気にしていない美奈穂は、ふとある場所で視線を止める。
それは、外の景色にあった。
「? どうしたんだよ?」
「いや、あれってさ」
「ぁあ?」
美奈穂の視線の先を追う飛段。そこには、庭園があった。
飛段は、それがどうしたと言わんばかりに美奈穂を見た。
しかし美奈穂は、庭園の更に奥を指しながら言った。
「あれって、さ……飛段のネックレスのと同じマークのだよね?」
と。