「飛段は、私の隣で血まみれになっている」

「！？」

「どういうことだ」

「ちょっと“ケンカ”してね」

「ここに来られないような状態にしたのか」

「まぁ、身体をスパッと」

「……皆、いったん身体を本体に戻すんだ。一尾の封印をするときにまた呼ぶ」


これで、私と角都以外はその場から消えた。


「百恵、飛段は重要だ」

「分かっているさ」

「例え、歪んだ愛でもそこまでしてはこちらも困る」

「歪んだ愛！？」

「お前を見ていれば分かる」


リーダーに歪んだ愛だと言われ、角都には指摘され、私の心は激しく動揺した。


「べべべべべべ別に、こここ恋なんてっ……」

「俺は“恋”しているとは言っていない。見ていれば分かる、と言ったんだ」

「！？」


してやられた。


「どうでも良い。時間がない。角都、飛段の身体をどうにかしてやれ」


こうして私たちも戻った。




――……‥‥

意識が現実に戻れば、飛段が声をあげた。


「百恵！　元に戻せ！」


ちなみに飛段の身体はどこも切れていない。
ただ、紐でグルグル巻きにしただけだ。

冗談で“スパッと”なんて言ったけどね。


「ってかさ、縄抜けの術出来ないの？」


そうアドバイスという名の指摘をすれば、


「ぉお！」


と声を出す飛段。
だけど、直ぐに


「ところでよォ、縄抜けってどうやんだ？」


とか言うので、思いっ切り殴ってやった。


「うぉっ！？」


でも、その関係でマントがビリッと――。


「！？」

「あーらら。どうすんの、コレ」

「や、それは事故で……」

「直してくれるよなー百恵ちゃんよォ」

「っ」


断れないけど、断ろうとも思わない。だって、恋してるんだと気付いたから。


「百恵、可愛いな。ゲハハハハ！」

「っ、バカ！」

「え、ちょオイ！　マントは！？　ってか紐解け！　お、角都ゥ！　良いところにっ。百恵を捕まえてくれ！　あ、やっぱこの紐解いてから……」






～END～
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