痛みの理解

飛段との会話の途中だった。
角都が“だが”と、何か言いたそうに呟いた。


「?」

「そんな話をするお前は、らしくないな……」

「……そうかァ?」


角都の言ったことを理解して、笑う飛段。


「ただ……」

「まだ、何かあんのかよ?」

「俺の相方はお前しかいない」

「角都っ……!!」


感動する飛段。
相方に相応しいのは自分しかいない、と言われ嬉しいようだ。


「何回殺しても死なないんだからな」


角都の言葉に、一瞬にして感動が薄れた飛段。
溜息を一つつき“やっぱ、そういうことかよ”と呟く姿は、どことなく寂しそうだ。


「人は脆い。すぐ死ぬ」

「角都は怒りっぽいもんな!」


怒って殺してしまうんだろ、と言い下品に笑う。


ドンッ


「うぉっ!!?」


飛段は吹っ飛ばされた。
角都の硬化された拳によって、飛段の身体は近くにあった木を三本ほど折って、四本目の木で止まった。

無残にも、飛段の身体によって折られた木は、地面に散乱している。


「黙れ、飛段。…………行くぞ」

「痛ってー…………ってオイ!! 待てよ!! 角都ゥ!!」


そそくさと立ち去ろうとする角都に、飛段は慌てて後を追った。


「角都、実はツンデレだろ!?」


ピキッ

ドンッ!



またも飛段の身体は、木を折った。今度は五本だ。


「マジで痛ぇーなー。お前、本当に俺の痛み分かってんのかァ!?」

「貴様の言う痛みは、これしきの痛みなのか」

「ハァ?」

「ふん。だったら分からん」

「え、ちょ、角都!!? さっきと言ってること違うじゃねぇか!!」

「俺が言ったのは、死ぬ時の痛みだ。こんなの痛みには入らん」


死ぬ時の痛み――。
飛段も角都しか分かりあえない痛みがあるからこそ、このコンビは上手くいっているのかもしれない。






~END~
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