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痛みの理解

「風遁・圧害」

「ぎゃぁぁぁあああ」


今回の相手は、角都が背中のやつを出す程までの忍だった。
しかし、特に苦戦することもなくいつものコンビ技で、あっという間に相手は息絶えた。

角都は、その時その相手から心臓を取った。それは、持っていた一個の心臓の寿命が来たので、交換時期だったからだ。


「……」

「…………どうした飛段。いつになく無口だな」


対戦も終わって、飛段と角都は石の上に座り、休んでいた。
だが、いつもお喋りな飛段が何やら考え事をしているのか、無口なのだ。


「いや……改めて思ったんだけどよー……」

「何だ」


真剣な眼差しで言う飛段だが、戦いの時の真剣さとはまた違った感じだった。


「他人の死ぬ痛み……角都は理解してくれてるんだなってよ」

「…………は?」

「いや、な。角都の心臓、一個消えたら一回死んだってことだろ?」

「……」

「でも、それが沢山あるから死なない。俺と同じだ。人が死ぬときの痛み……俺が心臓刺すときの痛み、角都は理解してくれてるってことだろ? 上手く説明出来ねぇけど」


角都だからこそ他の人には分からない痛みを理解できる、そう飛段は言うのだ。
飛段は不死身。死ねないからこそ、壮絶な痛みを感じる。角都もまた、心臓が一個でも多くある限り同じなのではないか――。


「そうだな」

「だよな!」


角都の肯定の意に、飛段も喜ぶ。


「だが、貴様のように快感は感じない」

「ハァ!? 痛みこそ、快感に変わるんだろーがよォ」


死ぬ痛みは分かるが、快感までは分からないという角都。
飛段はそれに、反論を述べるがいくら述べられても、角都には分からないことである。
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