生きた証
名前変換とあらすじ
この章の夢小説設定【概要】
第四次忍界大戦。カ
ブトによって穢土転
生された貴女は、か
つて木の葉でも手練
れの忍びだった。
勝手に動く身体に戸
惑いつつも、貴女は
ある気がかりを抱え
ていた――。
【ページ数】
全8ページ
【備考】
三人称。
捏造設定あり?
恋愛ではありません
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「確か、あの地震は……」
「知っているのか!?」
日向の忍が心当たりがあるという。ナルトが詳細を尋ねる。
「俺の親父から聞いたことがある。今まで木の葉を襲った大地震のうち、最も規模が大きく損害も死者も多かったと。だが、あれは後の調査で大地震ではなく何者かが起こした騒ぎだと分かったらしい」
「なっ、じゃあ、この姉ちゃんは事故なんかじゃなく……!」
「……やっぱり、そうか」
サオリは驚く様子もなかった。
「やっぱりって、姉ちゃん知ってたのか!?」
「なんとなく……土遁系のチャクラを感じた。でも、お腹痛くてそれどころじゃなかったし、気のせいかもとも思った」
「……」
その死に方に、誰もが何も言えなかった。
沈黙だけが流れ、やっと口を開いたのは名もなき忍だった。
「ちなみに、その子の名前は……」
「どうしてそんなこと聞く」
「どうしてって、もしかしたら聞いたことあるかもしれないだろ? そしたら、あんたも子どもの状況分かるし」
サオリは、多少躊躇ったがその名を口にした。
するといち早く、ナルトが何かに気付いた顔をした。
「……もう一回、言ってくれってばよ」
サオリがもう一度、口にすればナルトは悲しそうに眉を顰めた。
「その反応、知っているのか?」
「……その子ども」
ナルトは一つ一つを絞り出すように言葉を発する。
「多分……四代目火影、俺の父ちゃんだ」
「!!」
サオリだけではない。その場にいた忍も驚いた。
「その、根拠は」
震える声で聞いたサオリ。同じ名前なんて、いくらでもいるかもしれない。
「俺は、物心ついたときにはもう父ちゃんも母ちゃんもいなかった」
話し始めたのは、ナルト自身の人生と出生だった。
――……‥‥
皆、黙って聴いた。
そして全てを語り終えた時、こう言った。
「父ちゃんの出生まで俺は知らねぇけど、父ちゃんは偉大で……俺がここに生きていられるのは、父ちゃんと母ちゃんがいたからだ。どちらかがいなかったら、俺は生まれなかった。だから……父ちゃんを生んでくれてありがとう」
「!?」
ここまで、自分を知らないのに――ここまで感謝の気持ちを持てるだろうか。
そして自分の生んだ子が早くに命を落としたものの、生きて成長し更には火影にまで上り詰め、こんなにも良い子を残した。
心が洗われるような感覚がした。
「……ん? 身体が」
ナルトの言葉に、サオリに視線が集まった。
「ナルト」
「?」
「あの時、崩れ落ちた図書館から産婆とミナトが生きて脱出できるか正直分からなかった。図書館は広いし、崩れた瓦礫も多い。……でも私はそれでも信じるしか出来なかった」
目が合う。サオリは穏やかな表情だった。
「でも、今。ナルトのお陰で全て知ることが出来た。戦争は、悪いことばかりじゃないね」
「……それでも良いことは少ないってばよ」
「分かってる。でも私は、知れたことが良かった。……ナルト、こっちに」
サオリに呼ばれたナルトは、何事かと思いながらも近寄った。
そうすれば、サオリはすぐにナルトの頭の上に手を置いた。
「?」
「ナルト、会えて良かった」
「!」
ナルトはその瞬間、チャクラが漲るのを感じた。
「何を……」
「チャクラが回復していくのが分かる!」
そう叫んだのは日向の忍だった。彼の眼はそれを捉えていたのだ。
ナルトが消費したチャクラを埋めていくように。
そして
「ナルトは、ミナトがちゃんと生きたという証ね……」
――サオリは消えた。
暖かい、自分の中を流れるチャクラを感じながらナルトはそっと呟いたのだった。
「ありがとう、祖母ちゃん」
END
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