お返しデー
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
※特別なクッキーの理由と特別なクッキーの後のホワイトデーの話です。
※一部、微下ネタ有。
調査兵団本部の食堂は、いつだって解放されていて集まって雑談を楽しむ兵士も少なくはない。
三月某日。エレン・ミカサ・アルミンの三人は昼過ぎの食堂にてある相談をしていた。
「何をあげれば良いのかな」
「俺は昔、花とか摘んで渡してた。ガキだったし」
「でも、今はお金がある。買うことも出来る」
うーんと唸る三人の背後に、二つの気配。アルミンとミカサはすぐに気付いた。
「何を悩んでるのー?」
「うわぁああ! ハンジさん! 驚かさないでくださいよ!」
エレンの顔を上から覗き込んだのは、調査兵団の分隊長であるハンジ・ゾエであった。
エレンは全く気付かず、突然現れた上官に思わず声をあげた。
「驚かせるつもりはなかったんだけどなぁ。で、何悩んでるの?」
ハンジの隣には兵士長であるリヴァイもいる。この二人、一緒にいること多いなと三人は思った。
「先月、マーラさんからお菓子貰ったんでお返しを考えていたんです」
アルミンが答えた。
するとハンジは不可思議な顔をして
「お返し? 今?」
と首を傾げた。
先月のお菓子を今頃返すことに疑問を持ったようだった。
「二月十四日に贈り物を貰ったら、三月十四日に贈り物を返すんです。で、何を返そうが悩んでて……」
エレンが説明をすると、ハンジは
「え、ちょっと待って! その二月十四日に私、マーラにお菓子もらったけど! お返ししなきゃいけないの!?」
心底驚いて声を荒げた。
「あ、いや……いけないってわけじゃないですけど、そういう風習が父さんの故郷ではあるって言ってて、うちではそうしてました」
二月十四日に贈り物をする風習が、グリシャ・イェーガーの故郷にある。
それにならって、マーラは調査兵団の一部の面々に毎年贈り物をしていた。
「まじかー……マーラ、そんなこと言ってなかったから、一つも返したことないよー。リヴァイは知ってた?」
「いや……初耳だ」
しかしマーラは、三月十四日のお返しの風習を伝えていなかったのである。
よって、今まで調査兵団ではマーラが贈り物を贈りっぱなしというものになっていた。
「考えたら私、貰ってばかりで自分から贈ったことなかったなぁ。そういう風習を知らずにきたから……」
「僕も知りませんでした。エレンに聞いて初めて知ったくらいです。マーラさんは、お返しを催促するようで三月十四日のことを言わなかったのかもしれないですね」
皆が頷くほど、アルミンの推測は納得出来るものだった。
「やー、マーラらしいなぁ。これは皆にちゃんと言わないといけないね。お返しは何でも良いのかい?」
「お返しなんで、お菓子でも花でも物でも良いですよ。俺はガキの頃、よく花を姉ちゃんと母さんに渡してました」
「そっか、じゃあ私も考えよ! 素敵な風習だからね! リヴァイもお返ししなよ!」
「……あぁ」
「じゃ、私はエルヴィンにこの衝撃的な事実を伝えに行くから、これで!」
ハンジはそう言って食堂を後にした。
――……‥‥
※一部、微下ネタ有。
調査兵団本部の食堂は、いつだって解放されていて集まって雑談を楽しむ兵士も少なくはない。
三月某日。エレン・ミカサ・アルミンの三人は昼過ぎの食堂にてある相談をしていた。
「何をあげれば良いのかな」
「俺は昔、花とか摘んで渡してた。ガキだったし」
「でも、今はお金がある。買うことも出来る」
うーんと唸る三人の背後に、二つの気配。アルミンとミカサはすぐに気付いた。
「何を悩んでるのー?」
「うわぁああ! ハンジさん! 驚かさないでくださいよ!」
エレンの顔を上から覗き込んだのは、調査兵団の分隊長であるハンジ・ゾエであった。
エレンは全く気付かず、突然現れた上官に思わず声をあげた。
「驚かせるつもりはなかったんだけどなぁ。で、何悩んでるの?」
ハンジの隣には兵士長であるリヴァイもいる。この二人、一緒にいること多いなと三人は思った。
「先月、マーラさんからお菓子貰ったんでお返しを考えていたんです」
アルミンが答えた。
するとハンジは不可思議な顔をして
「お返し? 今?」
と首を傾げた。
先月のお菓子を今頃返すことに疑問を持ったようだった。
「二月十四日に贈り物を貰ったら、三月十四日に贈り物を返すんです。で、何を返そうが悩んでて……」
エレンが説明をすると、ハンジは
「え、ちょっと待って! その二月十四日に私、マーラにお菓子もらったけど! お返ししなきゃいけないの!?」
心底驚いて声を荒げた。
「あ、いや……いけないってわけじゃないですけど、そういう風習が父さんの故郷ではあるって言ってて、うちではそうしてました」
二月十四日に贈り物をする風習が、グリシャ・イェーガーの故郷にある。
それにならって、マーラは調査兵団の一部の面々に毎年贈り物をしていた。
「まじかー……マーラ、そんなこと言ってなかったから、一つも返したことないよー。リヴァイは知ってた?」
「いや……初耳だ」
しかしマーラは、三月十四日のお返しの風習を伝えていなかったのである。
よって、今まで調査兵団ではマーラが贈り物を贈りっぱなしというものになっていた。
「考えたら私、貰ってばかりで自分から贈ったことなかったなぁ。そういう風習を知らずにきたから……」
「僕も知りませんでした。エレンに聞いて初めて知ったくらいです。マーラさんは、お返しを催促するようで三月十四日のことを言わなかったのかもしれないですね」
皆が頷くほど、アルミンの推測は納得出来るものだった。
「やー、マーラらしいなぁ。これは皆にちゃんと言わないといけないね。お返しは何でも良いのかい?」
「お返しなんで、お菓子でも花でも物でも良いですよ。俺はガキの頃、よく花を姉ちゃんと母さんに渡してました」
「そっか、じゃあ私も考えよ! 素敵な風習だからね! リヴァイもお返ししなよ!」
「……あぁ」
「じゃ、私はエルヴィンにこの衝撃的な事実を伝えに行くから、これで!」
ハンジはそう言って食堂を後にした。
――……‥‥
1/7ページ