特別なクッキー
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
※特別なクッキーの理由 の関連物語です。
こちら読んでなくても大丈夫なようにはなっています。
内容:上記の話で書いてなかった、夢主がリヴァイにクッキーを渡す場面のお話です。ハンジがリヴァイの部屋を訪ねる直前。
二月十四日。
その日は、大切な人に特別な贈り物をする日――。
そんな習慣は、この壁の中に存在しないのだがマーラ・イェーガーはその習慣が、壁の外にあることを知っていた。
元は、父親であるグリシャ・イェーガーが自分の故郷にこういった習慣があると言ったのが始まりだ。
大切な人というのは家族や友人、恋人等を指す。グリシャの故郷では家族や友人には感謝の気持ちを込めて贈り物をし、恋人には愛情を込めて贈り物をするのだという。
男女関係なく贈り物をしてもいい日なのだが、長い歴史の中で習慣は変化していきグリシャが故郷を出る頃には、女性が男性に贈るのがほとんどになったそうだ。
当時のマーラは、それを聞いて素敵な習慣だと感じ母親に話をして一緒にお菓子を作り始めたのが最初だった。
その習慣のある父の故郷が壁の外にあることを知ったのは、しばらく経ってからだった。
それでもなお、その習慣は続けたが訓練兵団に入団してからはやらなくなった。
毎日が忙しくて、そんな暇なかったからだ。
やがて、調査兵団に入団し一年目は慣れるのに必死で習慣を忘れていた。
二年目でウォール・マリアが陥落し、家族を失った。父と母を思い出した時に習慣も思いだし久しぶりにお菓子を作った。
仲良くなった調査兵団の皆と、入団四ヶ月目でお付き合いを始めた男に渡した。
皆、そんな習慣のことは知らなかったため興味津々だった。
それから毎年、作るようになったマーラは今年もまた変わらずお菓子を手作りしたのであった。
――……‥‥
コンコン、と木の扉をノックすれば中から返事があった。
マーラは綺麗にラッピングした特別なクッキー片手に、ドアを開けた。
「失礼します。マーラ・イェーガーです。兵長に至急お渡ししたいものがあります」
「……気持ち悪い挨拶しやがって」
いつもはこんな丁寧な挨拶はしないため、部屋の主であるリヴァイは眉間に皺を寄せた。
「気持ち悪いって酷くない? 軽いノリにも付き合ってくれないの?」
「そんなタマじゃねぇだろ。やけにハイだな。ヤクでもやってんじゃねぇだろうな」
「そんなことするわけないでしょ。一応ここは、執務室ですから。ちょっと部下の気分になってみただけ」
まぁ役職上は部下なんだけど、と付け加えた。
リヴァイの前に行くと、机の上には山のような書類がどっさり積み重なっていた。
「凄い仕事量だね。いつにも増して」
「あぁ。この時期は壁外調査も減るからな。その分、中央の奴らのご機嫌取りにエルヴィンが駆り出されてる」
「団長の仕事代わりにしてるってこと?」
「内容がさほど重要じゃなくて、俺のサインでもいいやつは全部回って来てる」
マーラが覗けば、書類にはぎっしり文字が並んでいた。
気の遠くなる文字の量が延々と続く。今のリヴァイは、自分の元々やらなくてはいけない仕事と団長の仕事の一部がのしかかっている状態。
これはなかなか休めないな、とマーラは思った。
「で、何の用で来た」
書類をじっと見つめるだけのマーラに、リヴァイは手を止めることなく聞いた。
「そうそう、これを渡したくて来たの」
手に持っていたクッキーの包みを差し出す。
「もうそんな時期か」
「そんな時期です。これでも食べて仕事頑張って」
リヴァイはそれを受け取ると、書類が並ぶ机上の空きスペースに置いた。
「それじゃあ私はこれで」
「待て」
去ろうとしたマーラが、リヴァイの声に振り向いた。
「こっちにこい」
リヴァイが指し示したのは、自分の隣だった。
マーラは言われるがままに椅子に座るリヴァイの近くに行くと、突然腕を引っ張られる。
「ちょっ――」
慌てて力を込めたが、並の人間以上の力強さを持つリヴァイの前では無意味だった。
「座れ」
「え、それは」
「良いから座れ」
抱きしめられ、腰をぐいぐい引き寄せるその力に根負けしてマーラはその太腿の上に座らされた。
こちら読んでなくても大丈夫なようにはなっています。
内容:上記の話で書いてなかった、夢主がリヴァイにクッキーを渡す場面のお話です。ハンジがリヴァイの部屋を訪ねる直前。
二月十四日。
その日は、大切な人に特別な贈り物をする日――。
そんな習慣は、この壁の中に存在しないのだがマーラ・イェーガーはその習慣が、壁の外にあることを知っていた。
元は、父親であるグリシャ・イェーガーが自分の故郷にこういった習慣があると言ったのが始まりだ。
大切な人というのは家族や友人、恋人等を指す。グリシャの故郷では家族や友人には感謝の気持ちを込めて贈り物をし、恋人には愛情を込めて贈り物をするのだという。
男女関係なく贈り物をしてもいい日なのだが、長い歴史の中で習慣は変化していきグリシャが故郷を出る頃には、女性が男性に贈るのがほとんどになったそうだ。
当時のマーラは、それを聞いて素敵な習慣だと感じ母親に話をして一緒にお菓子を作り始めたのが最初だった。
その習慣のある父の故郷が壁の外にあることを知ったのは、しばらく経ってからだった。
それでもなお、その習慣は続けたが訓練兵団に入団してからはやらなくなった。
毎日が忙しくて、そんな暇なかったからだ。
やがて、調査兵団に入団し一年目は慣れるのに必死で習慣を忘れていた。
二年目でウォール・マリアが陥落し、家族を失った。父と母を思い出した時に習慣も思いだし久しぶりにお菓子を作った。
仲良くなった調査兵団の皆と、入団四ヶ月目でお付き合いを始めた男に渡した。
皆、そんな習慣のことは知らなかったため興味津々だった。
それから毎年、作るようになったマーラは今年もまた変わらずお菓子を手作りしたのであった。
――……‥‥
コンコン、と木の扉をノックすれば中から返事があった。
マーラは綺麗にラッピングした特別なクッキー片手に、ドアを開けた。
「失礼します。マーラ・イェーガーです。兵長に至急お渡ししたいものがあります」
「……気持ち悪い挨拶しやがって」
いつもはこんな丁寧な挨拶はしないため、部屋の主であるリヴァイは眉間に皺を寄せた。
「気持ち悪いって酷くない? 軽いノリにも付き合ってくれないの?」
「そんなタマじゃねぇだろ。やけにハイだな。ヤクでもやってんじゃねぇだろうな」
「そんなことするわけないでしょ。一応ここは、執務室ですから。ちょっと部下の気分になってみただけ」
まぁ役職上は部下なんだけど、と付け加えた。
リヴァイの前に行くと、机の上には山のような書類がどっさり積み重なっていた。
「凄い仕事量だね。いつにも増して」
「あぁ。この時期は壁外調査も減るからな。その分、中央の奴らのご機嫌取りにエルヴィンが駆り出されてる」
「団長の仕事代わりにしてるってこと?」
「内容がさほど重要じゃなくて、俺のサインでもいいやつは全部回って来てる」
マーラが覗けば、書類にはぎっしり文字が並んでいた。
気の遠くなる文字の量が延々と続く。今のリヴァイは、自分の元々やらなくてはいけない仕事と団長の仕事の一部がのしかかっている状態。
これはなかなか休めないな、とマーラは思った。
「で、何の用で来た」
書類をじっと見つめるだけのマーラに、リヴァイは手を止めることなく聞いた。
「そうそう、これを渡したくて来たの」
手に持っていたクッキーの包みを差し出す。
「もうそんな時期か」
「そんな時期です。これでも食べて仕事頑張って」
リヴァイはそれを受け取ると、書類が並ぶ机上の空きスペースに置いた。
「それじゃあ私はこれで」
「待て」
去ろうとしたマーラが、リヴァイの声に振り向いた。
「こっちにこい」
リヴァイが指し示したのは、自分の隣だった。
マーラは言われるがままに椅子に座るリヴァイの近くに行くと、突然腕を引っ張られる。
「ちょっ――」
慌てて力を込めたが、並の人間以上の力強さを持つリヴァイの前では無意味だった。
「座れ」
「え、それは」
「良いから座れ」
抱きしめられ、腰をぐいぐい引き寄せるその力に根負けしてマーラはその太腿の上に座らされた。
1/5ページ