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「え、何? 今から拷問でもするの?」
調査兵団本部にある調理場に入ったハンジ・ゾエの開口一番がそれだった。
目の前には、ハンジと同じ分隊長の職についているマーラがゴム手袋をきっちりとはめて口と頭を布で覆い、エプロンを身につけていた。
「いや、しませんよ」
「これって……」
マーラに近寄ったハンジは、彼女の前にある台の上に並べられている物を見た。
ボウルやヘラ等の調理器具や、町で買ったであろう小麦粉や卵等の食材もある。
ハンジは「あぁ」と納得したように声をあげた。
「いつものあれだね?」
「そう、いつものあれです」
二月十四日。子供の頃から毎年、マーラはその日のためにお菓子を作っていた。
それは、父であるグリシャ・イェーガーの
「父さんの故郷には、毎年二月十四日に大切な人に贈り物をする習慣がある」
という一言から始まったのだ。
本当は、その前にそれに繋がる会話があったのだがもはや覚えてはいない。
しかし、幼いマーラはそれがどういったものか興味が湧いて聞いたことは今でも鮮明に記憶していた。
「でもさぁ、毎年この時期にお菓子や物を贈ったりする行事がある場所なんて、調べたけどないんだよね。マーラのお父さんってどこの出身なの?」
「えっ、あー……どこ、だったかな。聞いたことないかもしれないですね。記憶にないですし」
まさか壁の外です。海の向こうです。なんて言えない。
「ウォール・マリアのどこかかなぁ。一部の地域だけやってて、調べても出てこない程の田舎だったとか?」
「どうでしょう……でもそうかもしれないですね」
数年前。分隊長に昇進してから、そう言えば毎年作ってたなぁと思い出し調査兵団の仲間に作った。
その時に、ハンジに「何その習慣」と聞かれて思い出したのだ。この習慣が壁内に存在しないことに。
壁外に人類はいないことになっているから、当然言えるわけもなく。
結果「父の故郷のことは聞かなかった。幼い自分が興味があったのはそういう習慣のことだけだった。或いは聞いても忘れている」ということにしたのだ。
「それより、凄い完全防備でやってるけど……お菓子作るのにそれって必要?」
料理する人がまずしないようなマーラの格好に、ハンジは首を捻った。
調査兵団本部にある調理場に入ったハンジ・ゾエの開口一番がそれだった。
目の前には、ハンジと同じ分隊長の職についているマーラがゴム手袋をきっちりとはめて口と頭を布で覆い、エプロンを身につけていた。
「いや、しませんよ」
「これって……」
マーラに近寄ったハンジは、彼女の前にある台の上に並べられている物を見た。
ボウルやヘラ等の調理器具や、町で買ったであろう小麦粉や卵等の食材もある。
ハンジは「あぁ」と納得したように声をあげた。
「いつものあれだね?」
「そう、いつものあれです」
二月十四日。子供の頃から毎年、マーラはその日のためにお菓子を作っていた。
それは、父であるグリシャ・イェーガーの
「父さんの故郷には、毎年二月十四日に大切な人に贈り物をする習慣がある」
という一言から始まったのだ。
本当は、その前にそれに繋がる会話があったのだがもはや覚えてはいない。
しかし、幼いマーラはそれがどういったものか興味が湧いて聞いたことは今でも鮮明に記憶していた。
「でもさぁ、毎年この時期にお菓子や物を贈ったりする行事がある場所なんて、調べたけどないんだよね。マーラのお父さんってどこの出身なの?」
「えっ、あー……どこ、だったかな。聞いたことないかもしれないですね。記憶にないですし」
まさか壁の外です。海の向こうです。なんて言えない。
「ウォール・マリアのどこかかなぁ。一部の地域だけやってて、調べても出てこない程の田舎だったとか?」
「どうでしょう……でもそうかもしれないですね」
数年前。分隊長に昇進してから、そう言えば毎年作ってたなぁと思い出し調査兵団の仲間に作った。
その時に、ハンジに「何その習慣」と聞かれて思い出したのだ。この習慣が壁内に存在しないことに。
壁外に人類はいないことになっているから、当然言えるわけもなく。
結果「父の故郷のことは聞かなかった。幼い自分が興味があったのはそういう習慣のことだけだった。或いは聞いても忘れている」ということにしたのだ。
「それより、凄い完全防備でやってるけど……お菓子作るのにそれって必要?」
料理する人がまずしないようなマーラの格好に、ハンジは首を捻った。
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