最後のお祝いは夢の中で
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生まれ育ったパラディ島を出て、かつての敵と共に世界中を回り各地の復興に尽力することになろうとは数年前まで想像すらしていなかった。
ついこの前まで壁の外に人類がいるなんて……と考えたところでリヴァイは静かに笑った。
ついこの前まで、とは言うがもう何年も前の話だ。
歳を取るとどうも五年、十年前が”ついこの前”になってしまう。
自分の歳も何歳だったかと一瞬考えてしまうくらいには歳を取ったが、誕生日は相変わらず覚えている。
それもこれも散々今は亡き仲間や、共に行きてきた伴侶に祝われたからだ。
そして本日、めでたくリヴァイは歳を一つ重ねた。
――リヴァイは、仮設テントの中から外を眺め耳を澄ます。
真っ平らにされた大地に雪が降り、今まさに積もろうとしている。そして遠くから聖なる鐘の音とやらがリヴァイの耳に届いていた。
多くの大型巨人に踏みつぶされた大地で生き残った人々は、復興の傍ら生き抜きもしているようだ。
閉ざされた島出身だったリヴァイは、共に旅をする仲間に十二月に行われる聖なる祝い事の話を聞いた。
パラディ島に外の人間が入ってきたときにも軽く聞いたことはあったが、実際に間近でその祝い事を見るのは初めてだった。
とはいえ、今は遠くから鐘の音が聞こえるだけだが地元住民らがこの何もない大地から立ち上がろうとする姿が想像できる。
共に旅をする子供、ガビとファルコは嬉しそうに音がする方へ先ほど走っていった。
どの道、この雪の中で復興作業をするのは難しいだろうからと大人らもテントで休んでいる。
何もすることがないが、こうしてゆったりとするにも悪くないとリヴァイは感じゆっくり瞼を閉じた。
――……‥‥
「……う……!」
誰かの声でリヴァイの意識は浮上した。
「……ちょう、兵長!」
「……ぁ?」
声がする方に視線を向け、リヴァイは少し目を見開いた。
「……お前ら、なん……で」
「どうしたんですか? そんな驚いた顔して」
「そうですよ! 兵長、今日の主役なんですからしっかりしてくださいよ!」
「……ペトラ、グンタか?」
そこにはかつて共に戦った仲間が大勢いた。
「なんで……お前らは確か……」
「リヴァイ」
「……エル、ヴィン」
肩に手を置いて優しく名前を呼んだのは、あの日自分が選ばなかった命だ。
自分がした選択は後悔はしていない。
しかし目の前にいるこの男の瞳を見ると、あの決断が後ろめたく感じた。
「何も気にすることはないさ。リヴァイ、今日は君が生まれた日だからな。精一杯祝わせてくれ」
「は?」
「ハンジ、頼んだ」
エルヴィンが向けた視線の先を見る。
今は懐かしい顔があった。
「じゃあ皆! 準備はいい? 行くよ、リヴァイ誕生日おめでとうー!」
「おめでとうございます! 兵長!」
祝いの言葉があちこちから飛び交った。
この感じをリヴァイは懐かしいと思った。大勢から祝われることはあまり得意ではないが、嫌ではない気持ち。
「相変わらず……騒々しいやつだハンジ」
「えー! でも折角のリヴァイの誕生日だよ? パーッといこうじゃないか!」
「ハンジさん、お祭り騒ぎしたいだけじゃ……」
「楽しいことは楽しくいこうじゃないか! まずはいつかのソニーとビーンのことで――」
「却下」
「えー……ナナバ、そう言わずにさぁ聞いてよ」
この騒がしい感じもリヴァイにとっては懐かしいものでしかなかった。
なぜどうしてここにこいつらがいる、と疑問に感じながらもそれを口にする気にはなれなかった。
居心地が良く、皆のやり取りを眺めているだけで何だか幸福を感じた。
「リヴァイ。皆、お前を慕いお前を祝いたいんだ」
エルヴィンが傍らでポツリと呟いた。車椅子に合わせてしゃがみ話を続ける。
「お前の脚がもうあまり良くならないことも皆、自分のことのように嘆いた」
「……お前もか」
「……あぁ。だが、お前のこの怪我はコニーを守って出来たものだろう? そのおかげでコニーが生きている。それもまた皆、安心したんだ」
「……後悔はしてねぇ」
「わかっているさ。皆、お前の心はわかってる。……だが肉体が消えても捧げた心臓の結末を知っても、リヴァイのことが心配なんだ」
「……気にするな。こっちはこっちで楽しくやってる。たまに、見せたい時がある。この世界を」
「……我々は共にある。見せてくれお前が行く世界を」
「さっさとあの世にトンズラすると思ってたが……これも調査兵団の好奇心ってやつか」
エルヴィンは答えなかった。
いつの間にか皆、静かになり整列してリヴァイを見ている。その端にエルヴィンも加わった。
「リヴァイ、これで最後だ。だがいつも見守っているよ」
「兵長! 幸せになってくださいね!」
「おじいちゃんになってから来てくださいよ!」
「改めてお誕生日おめでとう! リヴァイ!」
霞んでいく視界。
皆が口を揃えて何か言っているがリヴァイには内容よりも、その光景がなんともいえない温かい気持ちにさせてくれた。
「お前ら、ありがとう」
リヴァイの言葉に、全員一瞬驚いた表情を見せた。
その間抜けそうな面にリヴァイは密かに笑った。
ついこの前まで壁の外に人類がいるなんて……と考えたところでリヴァイは静かに笑った。
ついこの前まで、とは言うがもう何年も前の話だ。
歳を取るとどうも五年、十年前が”ついこの前”になってしまう。
自分の歳も何歳だったかと一瞬考えてしまうくらいには歳を取ったが、誕生日は相変わらず覚えている。
それもこれも散々今は亡き仲間や、共に行きてきた伴侶に祝われたからだ。
そして本日、めでたくリヴァイは歳を一つ重ねた。
――リヴァイは、仮設テントの中から外を眺め耳を澄ます。
真っ平らにされた大地に雪が降り、今まさに積もろうとしている。そして遠くから聖なる鐘の音とやらがリヴァイの耳に届いていた。
多くの大型巨人に踏みつぶされた大地で生き残った人々は、復興の傍ら生き抜きもしているようだ。
閉ざされた島出身だったリヴァイは、共に旅をする仲間に十二月に行われる聖なる祝い事の話を聞いた。
パラディ島に外の人間が入ってきたときにも軽く聞いたことはあったが、実際に間近でその祝い事を見るのは初めてだった。
とはいえ、今は遠くから鐘の音が聞こえるだけだが地元住民らがこの何もない大地から立ち上がろうとする姿が想像できる。
共に旅をする子供、ガビとファルコは嬉しそうに音がする方へ先ほど走っていった。
どの道、この雪の中で復興作業をするのは難しいだろうからと大人らもテントで休んでいる。
何もすることがないが、こうしてゆったりとするにも悪くないとリヴァイは感じゆっくり瞼を閉じた。
――……‥‥
「……う……!」
誰かの声でリヴァイの意識は浮上した。
「……ちょう、兵長!」
「……ぁ?」
声がする方に視線を向け、リヴァイは少し目を見開いた。
「……お前ら、なん……で」
「どうしたんですか? そんな驚いた顔して」
「そうですよ! 兵長、今日の主役なんですからしっかりしてくださいよ!」
「……ペトラ、グンタか?」
そこにはかつて共に戦った仲間が大勢いた。
「なんで……お前らは確か……」
「リヴァイ」
「……エル、ヴィン」
肩に手を置いて優しく名前を呼んだのは、あの日自分が選ばなかった命だ。
自分がした選択は後悔はしていない。
しかし目の前にいるこの男の瞳を見ると、あの決断が後ろめたく感じた。
「何も気にすることはないさ。リヴァイ、今日は君が生まれた日だからな。精一杯祝わせてくれ」
「は?」
「ハンジ、頼んだ」
エルヴィンが向けた視線の先を見る。
今は懐かしい顔があった。
「じゃあ皆! 準備はいい? 行くよ、リヴァイ誕生日おめでとうー!」
「おめでとうございます! 兵長!」
祝いの言葉があちこちから飛び交った。
この感じをリヴァイは懐かしいと思った。大勢から祝われることはあまり得意ではないが、嫌ではない気持ち。
「相変わらず……騒々しいやつだハンジ」
「えー! でも折角のリヴァイの誕生日だよ? パーッといこうじゃないか!」
「ハンジさん、お祭り騒ぎしたいだけじゃ……」
「楽しいことは楽しくいこうじゃないか! まずはいつかのソニーとビーンのことで――」
「却下」
「えー……ナナバ、そう言わずにさぁ聞いてよ」
この騒がしい感じもリヴァイにとっては懐かしいものでしかなかった。
なぜどうしてここにこいつらがいる、と疑問に感じながらもそれを口にする気にはなれなかった。
居心地が良く、皆のやり取りを眺めているだけで何だか幸福を感じた。
「リヴァイ。皆、お前を慕いお前を祝いたいんだ」
エルヴィンが傍らでポツリと呟いた。車椅子に合わせてしゃがみ話を続ける。
「お前の脚がもうあまり良くならないことも皆、自分のことのように嘆いた」
「……お前もか」
「……あぁ。だが、お前のこの怪我はコニーを守って出来たものだろう? そのおかげでコニーが生きている。それもまた皆、安心したんだ」
「……後悔はしてねぇ」
「わかっているさ。皆、お前の心はわかってる。……だが肉体が消えても捧げた心臓の結末を知っても、リヴァイのことが心配なんだ」
「……気にするな。こっちはこっちで楽しくやってる。たまに、見せたい時がある。この世界を」
「……我々は共にある。見せてくれお前が行く世界を」
「さっさとあの世にトンズラすると思ってたが……これも調査兵団の好奇心ってやつか」
エルヴィンは答えなかった。
いつの間にか皆、静かになり整列してリヴァイを見ている。その端にエルヴィンも加わった。
「リヴァイ、これで最後だ。だがいつも見守っているよ」
「兵長! 幸せになってくださいね!」
「おじいちゃんになってから来てくださいよ!」
「改めてお誕生日おめでとう! リヴァイ!」
霞んでいく視界。
皆が口を揃えて何か言っているがリヴァイには内容よりも、その光景がなんともいえない温かい気持ちにさせてくれた。
「お前ら、ありがとう」
リヴァイの言葉に、全員一瞬驚いた表情を見せた。
その間抜けそうな面にリヴァイは密かに笑った。
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