嫉妬
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先月、いつもの如くお菓子をあげるイベントをやったわけだが……本当なら一ヶ月後の今日、それのお返しをする日である。
しかし私はそれを周りの人に言ったことがないのだ。
なので、毎年一方的にあげて終わっているという状況である。元々、イェーガー家だけでやっていたことだしわざわざ言う必要ないかなって。
弟たちも今は訓練兵団にいるわけだし、なんてことない普通の一日なのである。
しかし、ひょんなことから私はお返しとも呼べるものを貰った。
しかもリヴァイからである。
贈り物の紅茶のティーカップはシンプルだけど、可愛らしい丸みを帯びた形をしている。
手にとってみると、しっくりくる持ち手に思わず頬が緩む。
リヴァイはお返しのことを知らないので、本当に偶然なのだが思わぬ出来事に私の機嫌は良い。
が、これを貰うまでの一日は長かった。
その話を少し振り返ってみようと思う――。
非番だった私は朝からトロスト区をぶらぶら歩いていた。
仲間とどこかへ行くのも悪くはないが、今日は一人でゆっくり買い物の気分だった。
ある程度、買いたいものを買って大通りを歩いていると一人の男に声をかけられた。
私の名前を呼んだことから、結構な知り合いだとは思うのだけど私には心当たりがなく。
失礼だと思いつつも
「どちらさまですか?」
と聞いてしまった。
男は一瞬目を見開いたあと、あからさまに落ち込んだような表情を見せた。
「忘れるなんて、そんなに俺は影が薄かったか?」
「え、すみません。お名前を教えていただけますか?」
「ハンスだよ! 訓練兵団で一緒だっただろ? まじで覚えてねぇの?」
訓練兵団で一緒だったハンス、そう聞いて頭をフル回転させた。
私は比較的仲が良かった男子が何人かいたが、その中の一人だと思う。
思うというのはグループでつるんでいたからだ。時々一緒に何かをする仲の良い男子たちの中の一人という感じだ。
なんせもっと仲の良い男子は他にいたので……。
「あー……ハンスね、多分覚えてるかな」
「多分ってなぁ……。一緒に雪山訓練の時に下山した仲だろ?」
「え、一緒に下山したっていっぱいいたけど!?」
「それにほら、立体機動装置を一緒に整備したじゃないか。俺とアルマとサムで……」
そこまで言われて私の頭に漸く当時の記憶が浮かび上がった。
でも――。
「え? ハンスってそんな顔だったっけ?」
「酷くない!? ま、確かにちょっとイメージチェンジしたつもりだけどよ」
「いやいやちょっとじゃなくない!?」
目の前の男は私の記憶の中の男と違って見えた。
私の知るハンスは端っこにいて、あまり喋らないタイプ。でもいつもそこにいる感じ。
髪もちょっと長めで顔が隠れているようなそんな印象だ。
でも目の前のハンスは、髪も短くて顔が見える。端正な顔立ちをしており、少し明るい印象だった。
だから全然わからなかったのである。
「雰囲気もなんか変わった気がするよ。あれでしょ、サムがいつも“こいつはシャイなだけで慣れれば喋る”って言ってた……」
「そう、言われてた。懐かしいな」
「でも私とそんな話したっけ……?」
「いや、そんなに。でも実は克服したっていうか……色々あって今はだいぶ人と会話出来るようになって。まだ大勢といると無口になるけど、こうして一対一だったら大丈夫」
ハンスはそう言って少し微笑んだ。
正直、話しかけてくれたことにびっくりはするが懐かしい人に声をかけられるのは悪い気がしない。
しかし私はそれを周りの人に言ったことがないのだ。
なので、毎年一方的にあげて終わっているという状況である。元々、イェーガー家だけでやっていたことだしわざわざ言う必要ないかなって。
弟たちも今は訓練兵団にいるわけだし、なんてことない普通の一日なのである。
しかし、ひょんなことから私はお返しとも呼べるものを貰った。
しかもリヴァイからである。
贈り物の紅茶のティーカップはシンプルだけど、可愛らしい丸みを帯びた形をしている。
手にとってみると、しっくりくる持ち手に思わず頬が緩む。
リヴァイはお返しのことを知らないので、本当に偶然なのだが思わぬ出来事に私の機嫌は良い。
が、これを貰うまでの一日は長かった。
その話を少し振り返ってみようと思う――。
非番だった私は朝からトロスト区をぶらぶら歩いていた。
仲間とどこかへ行くのも悪くはないが、今日は一人でゆっくり買い物の気分だった。
ある程度、買いたいものを買って大通りを歩いていると一人の男に声をかけられた。
私の名前を呼んだことから、結構な知り合いだとは思うのだけど私には心当たりがなく。
失礼だと思いつつも
「どちらさまですか?」
と聞いてしまった。
男は一瞬目を見開いたあと、あからさまに落ち込んだような表情を見せた。
「忘れるなんて、そんなに俺は影が薄かったか?」
「え、すみません。お名前を教えていただけますか?」
「ハンスだよ! 訓練兵団で一緒だっただろ? まじで覚えてねぇの?」
訓練兵団で一緒だったハンス、そう聞いて頭をフル回転させた。
私は比較的仲が良かった男子が何人かいたが、その中の一人だと思う。
思うというのはグループでつるんでいたからだ。時々一緒に何かをする仲の良い男子たちの中の一人という感じだ。
なんせもっと仲の良い男子は他にいたので……。
「あー……ハンスね、多分覚えてるかな」
「多分ってなぁ……。一緒に雪山訓練の時に下山した仲だろ?」
「え、一緒に下山したっていっぱいいたけど!?」
「それにほら、立体機動装置を一緒に整備したじゃないか。俺とアルマとサムで……」
そこまで言われて私の頭に漸く当時の記憶が浮かび上がった。
でも――。
「え? ハンスってそんな顔だったっけ?」
「酷くない!? ま、確かにちょっとイメージチェンジしたつもりだけどよ」
「いやいやちょっとじゃなくない!?」
目の前の男は私の記憶の中の男と違って見えた。
私の知るハンスは端っこにいて、あまり喋らないタイプ。でもいつもそこにいる感じ。
髪もちょっと長めで顔が隠れているようなそんな印象だ。
でも目の前のハンスは、髪も短くて顔が見える。端正な顔立ちをしており、少し明るい印象だった。
だから全然わからなかったのである。
「雰囲気もなんか変わった気がするよ。あれでしょ、サムがいつも“こいつはシャイなだけで慣れれば喋る”って言ってた……」
「そう、言われてた。懐かしいな」
「でも私とそんな話したっけ……?」
「いや、そんなに。でも実は克服したっていうか……色々あって今はだいぶ人と会話出来るようになって。まだ大勢といると無口になるけど、こうして一対一だったら大丈夫」
ハンスはそう言って少し微笑んだ。
正直、話しかけてくれたことにびっくりはするが懐かしい人に声をかけられるのは悪い気がしない。
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