口下手とお菓子
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冬期の壁外調査は執り行うべきではないという見解がある。
訓練兵団にて雪山で生き残る訓練はあるものの、それは巨人がいない壁内での訓練だ。壁外で大吹雪の中、活動をするなんて自殺行為である。そういう意見が多数を占めるので、冬期の壁外調査は雪が比較的降りにくい数日間を見極めてから行われる。
しかしながら、天候というものは変わりやすくそう簡単にいかない時もある。
ーーその年、二月中旬前に行われた壁外調査で異例の大雪が振り始めたのである。
連日温かい気温が続き、春の陽気になっていたためこれなら大丈夫かもしれないと判断されたためだった。
調査兵団第一分隊隊長のミケ・ザカリアスの鼻によって、雪が降ると察知して引き換えしたものの、壁内に戻る前に吹雪になってしまった。
調査兵団の変人と言われるハンジ・ゾエは
「雪の中で巨人はどう動くのか興味があるなぁ」
と言っていたが、その答えは最悪な形で判明した。
それは、雪の中だろうがなんだろうが巨人は普通に動くというものだ。
つまり、それに遭遇した調査兵団は今回大勢の仲間を雪のせいで失ったのである。
壁内に命からがら戻った兵士たちには、民衆からの容赦ない罵倒が浴びせられた。
「なんで冬に行ったんだ」と。
決めたのは上の人間だが、この罵声には下の兵士も心が削られたのであった。
ーー……‥‥
二月十四日。
壁外調査を終えてまだ五日も経っていなかった。
未だに葬儀みたいな雰囲気漂う調査兵団で、マーラは毎年のようにやっているお菓子を配るということを出来ないでいた。
今年は壁外調査が直近でかぶるからと、作るのを止めてお菓子の既製品を購入していたのだがどうも渡す雰囲気ではない。
ということで、机上に並べた目の前の大量のお菓子をどうしたものかと悩む。
調査兵団全員に買った訳では無いが、仲良くさせてもらっている人やお世話になっている上司の分まである。
既製品とはいえ、早く消費しなければ腐ってしまうだろう。
「……入るぞ」
うんうんと唸りながら考え込んでいると、部屋のノック音が聞こえて入室を知らせる声がする。
視線を向けると、ドア枠にリヴァイがもたれかかっていた。
「どうしたの?」
「エルヴィンが報告書を早くあげろだとよ」
報告書と聞いて、マーラはそうだったと頭を抱えた。リヴァイはその言葉に怪訝な顔をする。
「まさか、忘れてたのか。分隊長になった自覚が足りてねぇ」
「忘れてはないよ。でも、全部まだ書けてなくて」
決して忘れていたわけではない。
ただ、どう書こうか迷って考えているうちに休憩をとった方がいいとなり休憩をとった。が、ふとお菓子を買ったことを思い出しそちらに考えが移行したのである。
「だが、俺はお前がそのバカみてぇな数の菓子を食う時間、待っていられないんだが」
壁外調査の報告書を書いても、直で団長には出せない。一度、兵士長のチェックが入って団長に届けられるのだ。
これは兵士長という役職柄で、各分隊の壁外調査での状況と個々の能力を把握する目的がある。
「私が自分で食べるために買ってきたわけじゃないよ。このお菓子をどうしようか迷ってるんだよね」
「あ?」
「リヴァイだから言うけど……」
ここでマーラは打ち明けた。
毎年イェーガー家に伝わるお菓子をあげる行事のやつで、今年は作れないから買ったこと。
壁外調査前に買っておいたけど、今回の調査で沢山の兵士が死に損害も出たから暗いムード。そのせいであげにくくなったこと。
少しは自分で食べても良いけど、全部は無理なこと。
をリヴァイに相談するように話す。
全部話し終わり、どうしたら良いかアイデアを尋ねたところでリヴァイは少し考える素振りを見せて口を開いた。
訓練兵団にて雪山で生き残る訓練はあるものの、それは巨人がいない壁内での訓練だ。壁外で大吹雪の中、活動をするなんて自殺行為である。そういう意見が多数を占めるので、冬期の壁外調査は雪が比較的降りにくい数日間を見極めてから行われる。
しかしながら、天候というものは変わりやすくそう簡単にいかない時もある。
ーーその年、二月中旬前に行われた壁外調査で異例の大雪が振り始めたのである。
連日温かい気温が続き、春の陽気になっていたためこれなら大丈夫かもしれないと判断されたためだった。
調査兵団第一分隊隊長のミケ・ザカリアスの鼻によって、雪が降ると察知して引き換えしたものの、壁内に戻る前に吹雪になってしまった。
調査兵団の変人と言われるハンジ・ゾエは
「雪の中で巨人はどう動くのか興味があるなぁ」
と言っていたが、その答えは最悪な形で判明した。
それは、雪の中だろうがなんだろうが巨人は普通に動くというものだ。
つまり、それに遭遇した調査兵団は今回大勢の仲間を雪のせいで失ったのである。
壁内に命からがら戻った兵士たちには、民衆からの容赦ない罵倒が浴びせられた。
「なんで冬に行ったんだ」と。
決めたのは上の人間だが、この罵声には下の兵士も心が削られたのであった。
ーー……‥‥
二月十四日。
壁外調査を終えてまだ五日も経っていなかった。
未だに葬儀みたいな雰囲気漂う調査兵団で、マーラは毎年のようにやっているお菓子を配るということを出来ないでいた。
今年は壁外調査が直近でかぶるからと、作るのを止めてお菓子の既製品を購入していたのだがどうも渡す雰囲気ではない。
ということで、机上に並べた目の前の大量のお菓子をどうしたものかと悩む。
調査兵団全員に買った訳では無いが、仲良くさせてもらっている人やお世話になっている上司の分まである。
既製品とはいえ、早く消費しなければ腐ってしまうだろう。
「……入るぞ」
うんうんと唸りながら考え込んでいると、部屋のノック音が聞こえて入室を知らせる声がする。
視線を向けると、ドア枠にリヴァイがもたれかかっていた。
「どうしたの?」
「エルヴィンが報告書を早くあげろだとよ」
報告書と聞いて、マーラはそうだったと頭を抱えた。リヴァイはその言葉に怪訝な顔をする。
「まさか、忘れてたのか。分隊長になった自覚が足りてねぇ」
「忘れてはないよ。でも、全部まだ書けてなくて」
決して忘れていたわけではない。
ただ、どう書こうか迷って考えているうちに休憩をとった方がいいとなり休憩をとった。が、ふとお菓子を買ったことを思い出しそちらに考えが移行したのである。
「だが、俺はお前がそのバカみてぇな数の菓子を食う時間、待っていられないんだが」
壁外調査の報告書を書いても、直で団長には出せない。一度、兵士長のチェックが入って団長に届けられるのだ。
これは兵士長という役職柄で、各分隊の壁外調査での状況と個々の能力を把握する目的がある。
「私が自分で食べるために買ってきたわけじゃないよ。このお菓子をどうしようか迷ってるんだよね」
「あ?」
「リヴァイだから言うけど……」
ここでマーラは打ち明けた。
毎年イェーガー家に伝わるお菓子をあげる行事のやつで、今年は作れないから買ったこと。
壁外調査前に買っておいたけど、今回の調査で沢山の兵士が死に損害も出たから暗いムード。そのせいであげにくくなったこと。
少しは自分で食べても良いけど、全部は無理なこと。
をリヴァイに相談するように話す。
全部話し終わり、どうしたら良いかアイデアを尋ねたところでリヴァイは少し考える素振りを見せて口を開いた。
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