リヴァイ兵長失踪事件
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「マーラさん、兵長知りませんか?」
リヴァイの直属の部下、ペトラ・ラルに話しかけられたのは12月25日の朝だった。
調査兵団本部の廊下を慌ただしく走ってきたペトラの額には、冬なのにも関わらず汗が少し滲んでいた。
「え、部屋にいない?」
ニ、三時間前までマーラはリヴァイと一緒にいた。
前日の夜から今朝まで彼の誕生日を二人きりで祝う秘密の時間を過ごしていた。早朝、リヴァイはマーラよりも早く起きていたし、二度寝などあの性格から考えにくい。
マーラの返答にペトラはそれが……と眉を下げた。
――……‥‥
いつもなら。
リヴァイの誕生日を祝う会が開かれているはずだった。
しかし、今年は主役が消えるという調査兵団では大騒ぎの事態に。
ペトラが誕生日のサプライズパーティーにリヴァイを呼びに行った時にはもう姿がなく。団長のエルヴィン・スミスにも告げず、姿を消したリヴァイを総出で探し回るという光景が広がっていた。
「誘拐か!?」
「いやいや、兵長が誘拐なんてありえないだろ!」
「外出届出てないらしい」
「じゃあ近くにいるのか?」
兵士たちが憶測を重ねるが答えは出ない。
――庭を走り回る兵士の様子を窓から見ていたエルヴィン・スミスは、自室に視線を戻した。
「ミケ、リヴァイの匂いは?」
「いや、感じられない」
スンと鼻を鳴らすのは、調査兵団きっての精鋭の一人ミケ・ザカリアス。
「困ったね。ミケの鼻にもわからないとなると……」
頭を抱えるのは、調査兵団の変人でリヴァイと仲が良いハンジ・ゾエ。
その他、調査兵団の幹部やリヴァイの部下たちが集められていた。
「エルヴィン、リヴァイからどこかへ行くと聞いてないのか」
「聞いていたらとっくに言ってる。ハンジ、君は?」
「聞いてないよ。けど、リヴァイももういつもながらサプライズパーティーが待ってるって知ってるはずなのになぁ……。これじゃあ逆サプライズだよ……」
エルヴィンが他の皆にも聞くが、首を傾げるばかりで誰一人心当たりがないようだった。
「もしかして兵長、嫌気が差して逃げたんじゃ……」
ハンジの右腕、モブリット・バーナーだ。
その予測にハンジはまさかと声を上げる。しかしモブリットは根拠も述べた。
「だって兵長、毎年祝われるのあまり好きではない感じでしたし」
その言葉に、一部の者から「えっ、そうなんですか」と驚きの声が上がった。
「俺が見る限りだが、兵長はあまりそういうの好きそうじゃないなって。口にはしないし、一応受け入れて入るが多分あまり好きではないのかと思ったんだ」
「嫌なら嫌って言うんじゃないの?」
ハンジの問いに今度はエルヴィンが答える。
「リヴァイはああ見えて嫌とは言えない質なようだ」
「えー……それじゃあパーティーとか止めたほうが良いのか……」
「そうでもないと思うぞ。リヴァイは祝われるのは得意ではないが、パーティー自体は悪くないと前に言っていた」
「どういうこと?」
「皆が酒を飲み、楽しめる機会を作ってやれるなら自分の誕生日でもなんでも価値があるのかもな。と……要は利用して楽しんでもらって構わないとは思っているようだ」
明日をもしれぬ命。いつ死ぬかわからないからこそ、できるだけ部下には悔いのないように人生楽しんでほしい。
それがリヴァイの心の中にはある。
「だから、リヴァイが逃げるなど考えにくいと私は思う」
エルヴィンが明かしたリヴァイの思いに、一同心が熱くなる。
だからといってリヴァイが見つからない問題は解決していない。
「兵士総出で捜索させているが、見つからないようだな」
兵長ーと叫びながら庭を駆け回る兵士たちに再び視線を向けるエルヴィン。
「本当どこへ行っちゃったんだろ。ミケ、本当に何も匂わない? 君の鼻が頼りなんだよ」
「スン……匂わないな。リヴァイの匂いはするが」
「どういうこと?」
匂わないが匂いがするとわけのわからないことを言うミケに、誰もが不思議がった。
ミケは歩き出し、匂いの許へ向かう。
リヴァイの直属の部下、ペトラ・ラルに話しかけられたのは12月25日の朝だった。
調査兵団本部の廊下を慌ただしく走ってきたペトラの額には、冬なのにも関わらず汗が少し滲んでいた。
「え、部屋にいない?」
ニ、三時間前までマーラはリヴァイと一緒にいた。
前日の夜から今朝まで彼の誕生日を二人きりで祝う秘密の時間を過ごしていた。早朝、リヴァイはマーラよりも早く起きていたし、二度寝などあの性格から考えにくい。
マーラの返答にペトラはそれが……と眉を下げた。
――……‥‥
いつもなら。
リヴァイの誕生日を祝う会が開かれているはずだった。
しかし、今年は主役が消えるという調査兵団では大騒ぎの事態に。
ペトラが誕生日のサプライズパーティーにリヴァイを呼びに行った時にはもう姿がなく。団長のエルヴィン・スミスにも告げず、姿を消したリヴァイを総出で探し回るという光景が広がっていた。
「誘拐か!?」
「いやいや、兵長が誘拐なんてありえないだろ!」
「外出届出てないらしい」
「じゃあ近くにいるのか?」
兵士たちが憶測を重ねるが答えは出ない。
――庭を走り回る兵士の様子を窓から見ていたエルヴィン・スミスは、自室に視線を戻した。
「ミケ、リヴァイの匂いは?」
「いや、感じられない」
スンと鼻を鳴らすのは、調査兵団きっての精鋭の一人ミケ・ザカリアス。
「困ったね。ミケの鼻にもわからないとなると……」
頭を抱えるのは、調査兵団の変人でリヴァイと仲が良いハンジ・ゾエ。
その他、調査兵団の幹部やリヴァイの部下たちが集められていた。
「エルヴィン、リヴァイからどこかへ行くと聞いてないのか」
「聞いていたらとっくに言ってる。ハンジ、君は?」
「聞いてないよ。けど、リヴァイももういつもながらサプライズパーティーが待ってるって知ってるはずなのになぁ……。これじゃあ逆サプライズだよ……」
エルヴィンが他の皆にも聞くが、首を傾げるばかりで誰一人心当たりがないようだった。
「もしかして兵長、嫌気が差して逃げたんじゃ……」
ハンジの右腕、モブリット・バーナーだ。
その予測にハンジはまさかと声を上げる。しかしモブリットは根拠も述べた。
「だって兵長、毎年祝われるのあまり好きではない感じでしたし」
その言葉に、一部の者から「えっ、そうなんですか」と驚きの声が上がった。
「俺が見る限りだが、兵長はあまりそういうの好きそうじゃないなって。口にはしないし、一応受け入れて入るが多分あまり好きではないのかと思ったんだ」
「嫌なら嫌って言うんじゃないの?」
ハンジの問いに今度はエルヴィンが答える。
「リヴァイはああ見えて嫌とは言えない質なようだ」
「えー……それじゃあパーティーとか止めたほうが良いのか……」
「そうでもないと思うぞ。リヴァイは祝われるのは得意ではないが、パーティー自体は悪くないと前に言っていた」
「どういうこと?」
「皆が酒を飲み、楽しめる機会を作ってやれるなら自分の誕生日でもなんでも価値があるのかもな。と……要は利用して楽しんでもらって構わないとは思っているようだ」
明日をもしれぬ命。いつ死ぬかわからないからこそ、できるだけ部下には悔いのないように人生楽しんでほしい。
それがリヴァイの心の中にはある。
「だから、リヴァイが逃げるなど考えにくいと私は思う」
エルヴィンが明かしたリヴァイの思いに、一同心が熱くなる。
だからといってリヴァイが見つからない問題は解決していない。
「兵士総出で捜索させているが、見つからないようだな」
兵長ーと叫びながら庭を駆け回る兵士たちに再び視線を向けるエルヴィン。
「本当どこへ行っちゃったんだろ。ミケ、本当に何も匂わない? 君の鼻が頼りなんだよ」
「スン……匂わないな。リヴァイの匂いはするが」
「どういうこと?」
匂わないが匂いがするとわけのわからないことを言うミケに、誰もが不思議がった。
ミケは歩き出し、匂いの許へ向かう。
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