恋の執着
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クレハ・ベルティーニ。以前、俺が得体のしれない幽霊に憑りつかれた時に助けてくれた兵士だ。
幽霊は信じていなかったわけではない。しかし、いざ自分がそれに関わると改めてその存在がいるのだと実感した。
「非番の日に申し訳ない。大丈夫だったか?」
俺は今、また彼女に頼らざるおえない状況にあると判断した。
非番の日に呼び出すのはどうかと思ったが、相談を先延ばしにしたくなかった。
「少しなら……。昼前の馬車で実家に帰ろうと思っているので」
「それは早急に言わなければならないな」
昼前の馬車であればあと一時間ほどだろうか。
そんなに時間がないにも関わらず、嫌な顔一つせず団長室に来てくれたことには感謝したい。
「すまないが、また君の力を貸してほしい件があってな」
「……兵長ですか?」
「分かるのか……!」
「何となくそうじゃないかって思ってました」
流石と言うべきか。
以前もリヴァイがベルティーニを呼び出し、俺のことを説明しようとした時。まだ何も話していないのに俺の事だと当てた。
本当に彼女は視えるのだろう。
「そうか。リヴァイにはやはり何か憑いているのか?」
実を言うと、リヴァイから相談されたわけではない。本人は口にしないが、最近やつれているのが目に見えて分かるのだ。
恐らくあれは寝れていない。
元々睡眠を多くとるやつではないが、更に寝ることが出来なくなっているような気がする。
目の下の隈が濃くなっていくのは見るに堪えない。
「そうですね。……すみません、知っていましたが……ご存知の通り私からはどうすることも出来ないので」
ベルティーニは視えるだけで除霊は出来ない。そのことは以前から聞いているので知っていた。
彼女は基本的に自分から相手に言うということがないようで、こうして誰かから言われないと動かないようだ。
俺もその判断は理解出来ないわけではない。
「団長命令とあればやりますけど」
「命令、か。そこまでは強制はしたくないのだが」
「でも兵長がああじゃ、困るんですよね?」
「まぁ……」
正直、リヴァイは普通のつもりかもしれないが睡眠をとってないと日に日に機嫌が悪くなっていくので困る。
「……分かりました」
「良いのか?」
「ええ。私も兵士長があれじゃ困るので、その“お願い”は受け入れます」
リヴァイに憑いているものは危険なのだろうか。
「助かる。リヴァイは嫌がるだろうが、私から説明しておこう」
「お願いします」
さてリヴァイにどう伝えたものか。ストレートに言っても拒否されそうだ。
俺は頭を悩ませた。
――……‥‥
結局、悩んでも無駄だと思いリヴァイの自室を訪ねた。
「てめぇから来るなんて珍しいじゃねぇか」
非番の日だというのに、目の下に隈を作り紅茶を飲む姿に俺は頭が痛くなる。
今すぐ寝てくれと言いたい気分だ。
「リヴァイ。単刀直入に聞くが、最近眠れているか?」
「……あ? 何だ急に。俺は元々あまり長く睡眠を取る方じゃない。てめぇのいう“よく”がどれくらいか分からねぇな」
「睡眠が短いのは知っているよ。いつも2~3時間程度しか寝ていないのだろう? だが、最近のお前はもっと酷そうだ」
俺の言葉にリヴァイは少し目を見開いた。
まさか自覚なしか?
「何でそう思う? まさか覗いているのか?」
……自覚はあるようだ。
「いや……だが、今のお前は明らかにやつれている」
「何が言いたい?」
「何か悩みでもあるんじゃないか? そう例えば……以前の私のような」
「……俺が変なのに憑かれていると言いたいのか」
鋭い視線が俺を刺す。
まるで威嚇する狼ようだ。
「可能性の話だ。一応彼女に頼んである」
「は?」
「一度見てもらうといい」
そう告げるとリヴァイは「ふざけるな」と呟いた。
これは以前の俺のように霊の拒否がそう答えさせているのか?
それともリヴァイの本心か。
「勝手に決めやがって……俺は平気だ」
「いや平気じゃない。見てもらえ」
「嫌だと言っている」
「駄目だ」
「なぜそこまで固執する?」
クレハ・ベルティーニに相談した時、彼女は既にリヴァイの異変を知っていた。
それはもうリヴァイに何か起こっているのは確定事項だ。だが、それを言うとリヴァイに憑いている霊が拒否をするかもしれない。
リヴァイ自身も不快にさせてしまうし、何かあったら問題だ。
俺はそう判断し、あえてリヴァイに“まだ憑いていることは知らない体”で行くことにした。
「私の勘だ」
「……」
「何もなければ謝るよ。私はただ、リヴァイが心配なだけだ。念のため……相談するだけだ」
怪しむようなリヴァイの目。ここで動揺したらバレる。
俺はリヴァイの目を真っ直ぐ見据えて、少し卑怯な手を使うことにした。
「リヴァイ、これは“命令”だ」
「チッ……了解した」
幽霊は信じていなかったわけではない。しかし、いざ自分がそれに関わると改めてその存在がいるのだと実感した。
「非番の日に申し訳ない。大丈夫だったか?」
俺は今、また彼女に頼らざるおえない状況にあると判断した。
非番の日に呼び出すのはどうかと思ったが、相談を先延ばしにしたくなかった。
「少しなら……。昼前の馬車で実家に帰ろうと思っているので」
「それは早急に言わなければならないな」
昼前の馬車であればあと一時間ほどだろうか。
そんなに時間がないにも関わらず、嫌な顔一つせず団長室に来てくれたことには感謝したい。
「すまないが、また君の力を貸してほしい件があってな」
「……兵長ですか?」
「分かるのか……!」
「何となくそうじゃないかって思ってました」
流石と言うべきか。
以前もリヴァイがベルティーニを呼び出し、俺のことを説明しようとした時。まだ何も話していないのに俺の事だと当てた。
本当に彼女は視えるのだろう。
「そうか。リヴァイにはやはり何か憑いているのか?」
実を言うと、リヴァイから相談されたわけではない。本人は口にしないが、最近やつれているのが目に見えて分かるのだ。
恐らくあれは寝れていない。
元々睡眠を多くとるやつではないが、更に寝ることが出来なくなっているような気がする。
目の下の隈が濃くなっていくのは見るに堪えない。
「そうですね。……すみません、知っていましたが……ご存知の通り私からはどうすることも出来ないので」
ベルティーニは視えるだけで除霊は出来ない。そのことは以前から聞いているので知っていた。
彼女は基本的に自分から相手に言うということがないようで、こうして誰かから言われないと動かないようだ。
俺もその判断は理解出来ないわけではない。
「団長命令とあればやりますけど」
「命令、か。そこまでは強制はしたくないのだが」
「でも兵長がああじゃ、困るんですよね?」
「まぁ……」
正直、リヴァイは普通のつもりかもしれないが睡眠をとってないと日に日に機嫌が悪くなっていくので困る。
「……分かりました」
「良いのか?」
「ええ。私も兵士長があれじゃ困るので、その“お願い”は受け入れます」
リヴァイに憑いているものは危険なのだろうか。
「助かる。リヴァイは嫌がるだろうが、私から説明しておこう」
「お願いします」
さてリヴァイにどう伝えたものか。ストレートに言っても拒否されそうだ。
俺は頭を悩ませた。
――……‥‥
結局、悩んでも無駄だと思いリヴァイの自室を訪ねた。
「てめぇから来るなんて珍しいじゃねぇか」
非番の日だというのに、目の下に隈を作り紅茶を飲む姿に俺は頭が痛くなる。
今すぐ寝てくれと言いたい気分だ。
「リヴァイ。単刀直入に聞くが、最近眠れているか?」
「……あ? 何だ急に。俺は元々あまり長く睡眠を取る方じゃない。てめぇのいう“よく”がどれくらいか分からねぇな」
「睡眠が短いのは知っているよ。いつも2~3時間程度しか寝ていないのだろう? だが、最近のお前はもっと酷そうだ」
俺の言葉にリヴァイは少し目を見開いた。
まさか自覚なしか?
「何でそう思う? まさか覗いているのか?」
……自覚はあるようだ。
「いや……だが、今のお前は明らかにやつれている」
「何が言いたい?」
「何か悩みでもあるんじゃないか? そう例えば……以前の私のような」
「……俺が変なのに憑かれていると言いたいのか」
鋭い視線が俺を刺す。
まるで威嚇する狼ようだ。
「可能性の話だ。一応彼女に頼んである」
「は?」
「一度見てもらうといい」
そう告げるとリヴァイは「ふざけるな」と呟いた。
これは以前の俺のように霊の拒否がそう答えさせているのか?
それともリヴァイの本心か。
「勝手に決めやがって……俺は平気だ」
「いや平気じゃない。見てもらえ」
「嫌だと言っている」
「駄目だ」
「なぜそこまで固執する?」
クレハ・ベルティーニに相談した時、彼女は既にリヴァイの異変を知っていた。
それはもうリヴァイに何か起こっているのは確定事項だ。だが、それを言うとリヴァイに憑いている霊が拒否をするかもしれない。
リヴァイ自身も不快にさせてしまうし、何かあったら問題だ。
俺はそう判断し、あえてリヴァイに“まだ憑いていることは知らない体”で行くことにした。
「私の勘だ」
「……」
「何もなければ謝るよ。私はただ、リヴァイが心配なだけだ。念のため……相談するだけだ」
怪しむようなリヴァイの目。ここで動揺したらバレる。
俺はリヴァイの目を真っ直ぐ見据えて、少し卑怯な手を使うことにした。
「リヴァイ、これは“命令”だ」
「チッ……了解した」
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