ついてくる女
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調査兵団本部に向かう馬車の中で、エルヴィンが肩の荷が下りたように息を吐いた。
「何とか今日中に済んだな。泊まりになるかと思っていた」
「珍しくお前と憲兵の意見がほぼ一致したんだ。良かったじゃねぇか」
「私だけではない。お前もの意見もだ、リヴァイ」
調査兵団はただ壁外に出て巨人を削ぐだけが仕事じゃない。
幹部ともなれば、ウォール・シーナの豚共や兵団のお偉い方に色々な事で呼び出されることも多々ある。
「別に俺はお前の判断に従っただけだ」
「それは本心では俺の意見に納得していないということか?」
「馬鹿言え。……俺よりお前の意見の方が最善だ」
「が、リヴァイがいなかったら今頃はまだ討論の最中だっただろうな。着いてきてくれて感謝する」
チッ。よく言う。
着いて来いって言ったのはエルヴィンの方だ。
断る余地などない。
カーテンをめくり窓から外を覗けば、エルミハ区から出てウォール・ローゼ内に入ったのが分かった。
「……ん? 何か言ったか?」
「は?」
「気のせいか。……しばらくはシーナの街ともお別れだな」
「……あぁ」
エルヴィンと二人きり。小一時間は馬車に揺られた。
――……‥‥
「おかえりなさい。団長、兵長」
「出迎えご苦労」
本部に着いた頃にはすっかり陽が傾いていた。
エルヴィンが先に降り、その後俺も降りたが何故かその時気になった。
兵士なんてそこらにいて俺達を見ているのに、遠くにひっそりと佇む一人の女兵士の視線が気になった。
――気持ち悪いな、何だあいつ。
正直、そう感じた。
馬車から降りたエルヴィンを目で追っている。その顔は無表情で、何を考えているのか分からなかった。
此処にいるってことはあいつも調査兵なんだろうが、絶対関わりたくないと思った。
だが、それは避けられない運命だったのかもしれない。
数日後、俺はエルヴィンに相談があると呼び出されたのだ。
「何だ、クソでも漏らしそうな顔しやがって」
「……俄かには信じがたい話かもしれないが、最近おかしなことが起こる」
エルヴィンが言うには、執務中に突然本棚から本が落ち、閉めたはずのドアが勝手に開くらしい。
それだけならまだしも、立体機動の訓練中に突然ワイヤーを引っ張られる感触がしてバランスを崩すこともあったとか。
当然、誰かの仕業かと思って確認はしたがその線は薄かったという。
「疲れてるんじゃねぇのか? 本が落ちるのはちゃんと入ってなかったとかで、ドアは閉め忘れたんだろ。ワイヤーの件は気のせいだ」
「私もそう思いたいんだが、どうも気のせいじゃないようなんだ」
「というと、何度も起こるのか」
「話が早くて助かるよ」
「チッ……で、俺にどうしろってんだ」
「今日一日、私に着いてほしい」
めんどくせぇことになった。
「俺だって書類やら訓練やらあるんだが」
「書類はここに持ってくればいい。訓練は私も同行しよう」
「……了解だ」
「何とか今日中に済んだな。泊まりになるかと思っていた」
「珍しくお前と憲兵の意見がほぼ一致したんだ。良かったじゃねぇか」
「私だけではない。お前もの意見もだ、リヴァイ」
調査兵団はただ壁外に出て巨人を削ぐだけが仕事じゃない。
幹部ともなれば、ウォール・シーナの豚共や兵団のお偉い方に色々な事で呼び出されることも多々ある。
「別に俺はお前の判断に従っただけだ」
「それは本心では俺の意見に納得していないということか?」
「馬鹿言え。……俺よりお前の意見の方が最善だ」
「が、リヴァイがいなかったら今頃はまだ討論の最中だっただろうな。着いてきてくれて感謝する」
チッ。よく言う。
着いて来いって言ったのはエルヴィンの方だ。
断る余地などない。
カーテンをめくり窓から外を覗けば、エルミハ区から出てウォール・ローゼ内に入ったのが分かった。
「……ん? 何か言ったか?」
「は?」
「気のせいか。……しばらくはシーナの街ともお別れだな」
「……あぁ」
エルヴィンと二人きり。小一時間は馬車に揺られた。
――……‥‥
「おかえりなさい。団長、兵長」
「出迎えご苦労」
本部に着いた頃にはすっかり陽が傾いていた。
エルヴィンが先に降り、その後俺も降りたが何故かその時気になった。
兵士なんてそこらにいて俺達を見ているのに、遠くにひっそりと佇む一人の女兵士の視線が気になった。
――気持ち悪いな、何だあいつ。
正直、そう感じた。
馬車から降りたエルヴィンを目で追っている。その顔は無表情で、何を考えているのか分からなかった。
此処にいるってことはあいつも調査兵なんだろうが、絶対関わりたくないと思った。
だが、それは避けられない運命だったのかもしれない。
数日後、俺はエルヴィンに相談があると呼び出されたのだ。
「何だ、クソでも漏らしそうな顔しやがって」
「……俄かには信じがたい話かもしれないが、最近おかしなことが起こる」
エルヴィンが言うには、執務中に突然本棚から本が落ち、閉めたはずのドアが勝手に開くらしい。
それだけならまだしも、立体機動の訓練中に突然ワイヤーを引っ張られる感触がしてバランスを崩すこともあったとか。
当然、誰かの仕業かと思って確認はしたがその線は薄かったという。
「疲れてるんじゃねぇのか? 本が落ちるのはちゃんと入ってなかったとかで、ドアは閉め忘れたんだろ。ワイヤーの件は気のせいだ」
「私もそう思いたいんだが、どうも気のせいじゃないようなんだ」
「というと、何度も起こるのか」
「話が早くて助かるよ」
「チッ……で、俺にどうしろってんだ」
「今日一日、私に着いてほしい」
めんどくせぇことになった。
「俺だって書類やら訓練やらあるんだが」
「書類はここに持ってくればいい。訓練は私も同行しよう」
「……了解だ」
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