第一章
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――あれは、まだ試衛館にいた時だった。
安政四年 弥生の月
私が近藤さんに連れられ、初めて試衛館を訪れた歳から八年目のことだった。その日は、同じ年で友でもある沖田総司と手合せをしていた。
道場で汗だくになりながらも、なかなか決着がつかない。他の門下生(試衛館は天然理心流の道場)は「いつものことだ」と特に目もくれず切り上げた。
真剣な試合の場でもないし、ただの稽古の延長なのだが総司と手合せをしているといつもいつも長引く。
大抵、どちらかが疲れて油断した一瞬で勝負がつくのだが、今日はお互い粘りに粘った。
というのも、今回の勝負は賭けをしていたからである。
「貰った!」
剣を交えているうちに(といっても木刀だが)一瞬、総司に隙が生まれた。
私はすかさずそこに打ち込みを入れた。
しかし――
「え?」
振り返れば、ニヤニヤと笑みを浮かべる総司の姿。
「はい、僕の勝ち! ういちゃん、罰決定ー」
なんということだ!
油断したのは私の方だった。総司の隙はあえて作られた罠だと察して、私は絶叫した。
「叫んでも駄目」
「悔しいーっ! 酷い! 今のなし!!」
「駄目駄目。なしとかなし。さぁ、潔く土方さんのとこに行きなさい」
ずるずると背中を押され、道場から追い出された私。
これから、総司との計画を実行しなければならないのだ。気が重くなりながらも、今回の標的(いつもだけど)の部屋へと向かった。
安政四年 弥生の月
私が近藤さんに連れられ、初めて試衛館を訪れた歳から八年目のことだった。その日は、同じ年で友でもある沖田総司と手合せをしていた。
道場で汗だくになりながらも、なかなか決着がつかない。他の門下生(試衛館は天然理心流の道場)は「いつものことだ」と特に目もくれず切り上げた。
真剣な試合の場でもないし、ただの稽古の延長なのだが総司と手合せをしているといつもいつも長引く。
大抵、どちらかが疲れて油断した一瞬で勝負がつくのだが、今日はお互い粘りに粘った。
というのも、今回の勝負は賭けをしていたからである。
「貰った!」
剣を交えているうちに(といっても木刀だが)一瞬、総司に隙が生まれた。
私はすかさずそこに打ち込みを入れた。
しかし――
「え?」
振り返れば、ニヤニヤと笑みを浮かべる総司の姿。
「はい、僕の勝ち! ういちゃん、罰決定ー」
なんということだ!
油断したのは私の方だった。総司の隙はあえて作られた罠だと察して、私は絶叫した。
「叫んでも駄目」
「悔しいーっ! 酷い! 今のなし!!」
「駄目駄目。なしとかなし。さぁ、潔く土方さんのとこに行きなさい」
ずるずると背中を押され、道場から追い出された私。
これから、総司との計画を実行しなければならないのだ。気が重くなりながらも、今回の標的(いつもだけど)の部屋へと向かった。