第十二章
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「やっぱ嫌なのか?」
私の話を最後まで聞いてくれた原田さんは、改めて尋ねてきた。
「話聞いてくれてすっきりしたけど……やっぱり無理」
幼少期の出来事が忘れられない。
父親のような考えを持つ人はこの世に沢山いる。
何故、女に生まれたからって男より下に見られなきゃいけないのだろう。
選んで生まれて来たわけじゃないのに、女はこうあるべきだ。力が弱いのだから男に刃向うな。
そんな父親の姿が、ずっと頭にこびりついて離れてくれない。
――突然、原田さんが立ち上がった。
原田さんの顔を見上げると目が合った。そして、これまた唐突に想像を絶する一言を放ったのだ。
「……俺と勝負しろ」
「え?」
思わず聞き返してしまった。
今まで原田さんは、女と稽古は好きではないというようなことを口にしていたはずだ。
それがどうして急に……。
そこで理由を聞いた。しかし、原田さんは答えなかった。
稽古ではなく、勝負だと言った彼の目は至って真面目な色をしている。
冗談を言っているようには思えなかった。
「……今から道場に行く。着いて来い」
歩き出す原田さんに私は何も言えず、着いて行くしかなかった。
――……‥‥
暗い道場に明かりを灯し、無言で淡々と準備を進めた原田さん。その雰囲気は少し怒っているような感じにも受け取れたが、本当の所は分からない。
木刀を渡されて、互いに定位置についた。
彼は普段槍を得意とし、木槍を使うのだが何故か今は木刀を持っていた。
「……木刀でいいの?」
そう問えば、原田さんの鋭い眼光がこちらを向いた。
やはりちょっと怖い雰囲気が漂っていた。
「これで十分だ」
「っ、何それ。私をなめてるの?」
「確かに俺は槍術を得意としているが……別に、剣術を疎かにしているつもりはねぇよ」
原田さんが木刀を構えたので、私も構えた。
いつもは稽古してくれないので、少し楽しみでもあった。
でも同時に、得意とする槍術じゃないのが残念でもある。それに一番得意な槍ではなく、剣を選ぶところにイラッとした。
「俺は本気で行く。だからお前も本気で来い」
「勿論。……槍じゃなくて剣を選んだこと、後悔しても知らないから」
「……。行くぞ」
すぐさま原田さんが先制攻撃をしかけてくる。
まずは彼の木刀と打ち合いになった。
「っ……(ちょっと待って。何これ!?)」
体格の良い新八さんと戦ったことがある。彼はその見た目の筋肉から想像できる通り、力強い一太刀を打ち込んでくる。
間違いなく、この試衛館の中で一番の筋肉の持ち主は新八さんだ。
だけど今、原田さんと打ち合って吃驚している。
それはもしかしたら、新八さん以上に原田さんの力が強いかもしれない。ということである。
決して乱暴に我武者羅に打ってくるわけではない。なのにその一つ一つが、私の手に痺れを感じさせているのである。
それが何度も続いて流石にまずいと思った。
私の話を最後まで聞いてくれた原田さんは、改めて尋ねてきた。
「話聞いてくれてすっきりしたけど……やっぱり無理」
幼少期の出来事が忘れられない。
父親のような考えを持つ人はこの世に沢山いる。
何故、女に生まれたからって男より下に見られなきゃいけないのだろう。
選んで生まれて来たわけじゃないのに、女はこうあるべきだ。力が弱いのだから男に刃向うな。
そんな父親の姿が、ずっと頭にこびりついて離れてくれない。
――突然、原田さんが立ち上がった。
原田さんの顔を見上げると目が合った。そして、これまた唐突に想像を絶する一言を放ったのだ。
「……俺と勝負しろ」
「え?」
思わず聞き返してしまった。
今まで原田さんは、女と稽古は好きではないというようなことを口にしていたはずだ。
それがどうして急に……。
そこで理由を聞いた。しかし、原田さんは答えなかった。
稽古ではなく、勝負だと言った彼の目は至って真面目な色をしている。
冗談を言っているようには思えなかった。
「……今から道場に行く。着いて来い」
歩き出す原田さんに私は何も言えず、着いて行くしかなかった。
――……‥‥
暗い道場に明かりを灯し、無言で淡々と準備を進めた原田さん。その雰囲気は少し怒っているような感じにも受け取れたが、本当の所は分からない。
木刀を渡されて、互いに定位置についた。
彼は普段槍を得意とし、木槍を使うのだが何故か今は木刀を持っていた。
「……木刀でいいの?」
そう問えば、原田さんの鋭い眼光がこちらを向いた。
やはりちょっと怖い雰囲気が漂っていた。
「これで十分だ」
「っ、何それ。私をなめてるの?」
「確かに俺は槍術を得意としているが……別に、剣術を疎かにしているつもりはねぇよ」
原田さんが木刀を構えたので、私も構えた。
いつもは稽古してくれないので、少し楽しみでもあった。
でも同時に、得意とする槍術じゃないのが残念でもある。それに一番得意な槍ではなく、剣を選ぶところにイラッとした。
「俺は本気で行く。だからお前も本気で来い」
「勿論。……槍じゃなくて剣を選んだこと、後悔しても知らないから」
「……。行くぞ」
すぐさま原田さんが先制攻撃をしかけてくる。
まずは彼の木刀と打ち合いになった。
「っ……(ちょっと待って。何これ!?)」
体格の良い新八さんと戦ったことがある。彼はその見た目の筋肉から想像できる通り、力強い一太刀を打ち込んでくる。
間違いなく、この試衛館の中で一番の筋肉の持ち主は新八さんだ。
だけど今、原田さんと打ち合って吃驚している。
それはもしかしたら、新八さん以上に原田さんの力が強いかもしれない。ということである。
決して乱暴に我武者羅に打ってくるわけではない。なのにその一つ一つが、私の手に痺れを感じさせているのである。
それが何度も続いて流石にまずいと思った。