覚悟を決めて
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いつだって、どうしてこうなったのか分からない。ただ何度も同じ時間を繰り返すこの地獄から抜け出したくて、二人で足掻いた。
どうやったら繰り返さずに済むのか分からない中で、前とは違う行動をとって結果を変えようと幾度も話し合いをした。
でもどういう結果になっても、また戻るばかりだった。
世界はどういう答えを求めているのか、私たちには理解出来ないのだ。
だから――エレンが憲兵に捕まって処刑されるころは、私たちが正しい道を選んだのか間違った道を選んだのか私には到底わからない。
――……‥‥
もう三度目だ。エレンの処刑が決まったと聞かされて、私がここに呼ばれるのは。
「マーラ・イェーガー、今一度聞く」
全兵団のトップ、ダリス・ザックレー総統の声だけが審議所に響いた。
「エレン・イェーガーは今回、巨人の力を使い巨人と戦った。しかし、壁の中の人類が巻き込まれていくことに配慮しなかった。巨人を殺すのに、まだ避難出来ていなかった民間人を殺してしまったことは、仕方のない犠牲だったというのかね?」
「……」
「……エレン・イェーガーは幼少期から残虐な一面があったのかね? もしくは何かそういう傾向を見たりしたのかね?」
ずっと同じ質問だ。これに答えたことはない。
選択が正しいかどうかは分からない。
「君は、エレン・イェーガーが巨人になれる人間だと知っていたのかね? 少なくとも、君以外の人間は知らなかった。ミカサ・アッカーマンやアルミン・アルレルトでさえも」
間違っていたら、また戻るだけ。そう思っていても
「……また黙秘かね」
エレンは、いつだってどんなに繰り返す世界でも
「いい加減にしろ! いつまで黙っているつもりだ!」
――私の大切な弟なのだ。
「……」
横目で怒鳴った男を見た。怒りを顕わにした表情 の彼は、憲兵団師団長のナイル・ドークだった。
「……エレンに会わせてください」
数秒の沈黙の後、私はザックレー総統の目を見て初めて口を開いた。
「何を言っている。エレン・イェーガーは一切の面会謝絶にある」
「エレンはたった一人の血の繋がった家族です」
――例え、世界を何度もリセットされても
「最後くらい会わせて下さい」
何度巡って、今この瞬間がなかったことになるとしても
「じゃなきゃ、私は何も言いません」
私は目の前でエレンを失いたくはない。
家族がいなくなる悲しみを味わいたくはない。これが、正しくない道だったとしても。
例え、これが正しい道でこの終わりのないループに終止符を打ったとしても、エレンを失って生き続けるのは苦しい。
だから失うのだけは嫌なのだ。
「……駄目だと言ったら」
「エレンの処刑が決まっているのに、何であれこれ聞くのか私には分かりません。私が何かを言ったところでエレンは兵団によって消されるんでしょう? それとも、私の言葉でエレンの処刑がなくなることがあるんですか?」
ザックレー総統は目を逸らした。言葉を詰まらせていた。
その時、私は思った。
兵団はエレンの処刑が決まったと私に嘘を吐き、エレンを助けようと必死に訴える様を求めている。
そして私からエレンの事を細かく聞き出し、それを使ってエレンを操ろうとしているのだろうか、と。
或いは、エレンの身内である私の方を疑っていて、どこかに隙がないか探ろうとしているのか。
どちらにせよ私の憶測に過ぎないが、まだこの世界は続かせることが出来ると思った。
「エレンに会わせてください。そしたら質問に答えますよ」
どうやったら繰り返さずに済むのか分からない中で、前とは違う行動をとって結果を変えようと幾度も話し合いをした。
でもどういう結果になっても、また戻るばかりだった。
世界はどういう答えを求めているのか、私たちには理解出来ないのだ。
だから――エレンが憲兵に捕まって処刑されるころは、私たちが正しい道を選んだのか間違った道を選んだのか私には到底わからない。
――……‥‥
もう三度目だ。エレンの処刑が決まったと聞かされて、私がここに呼ばれるのは。
「マーラ・イェーガー、今一度聞く」
全兵団のトップ、ダリス・ザックレー総統の声だけが審議所に響いた。
「エレン・イェーガーは今回、巨人の力を使い巨人と戦った。しかし、壁の中の人類が巻き込まれていくことに配慮しなかった。巨人を殺すのに、まだ避難出来ていなかった民間人を殺してしまったことは、仕方のない犠牲だったというのかね?」
「……」
「……エレン・イェーガーは幼少期から残虐な一面があったのかね? もしくは何かそういう傾向を見たりしたのかね?」
ずっと同じ質問だ。これに答えたことはない。
選択が正しいかどうかは分からない。
「君は、エレン・イェーガーが巨人になれる人間だと知っていたのかね? 少なくとも、君以外の人間は知らなかった。ミカサ・アッカーマンやアルミン・アルレルトでさえも」
間違っていたら、また戻るだけ。そう思っていても
「……また黙秘かね」
エレンは、いつだってどんなに繰り返す世界でも
「いい加減にしろ! いつまで黙っているつもりだ!」
――私の大切な弟なのだ。
「……」
横目で怒鳴った男を見た。怒りを顕わにした
「……エレンに会わせてください」
数秒の沈黙の後、私はザックレー総統の目を見て初めて口を開いた。
「何を言っている。エレン・イェーガーは一切の面会謝絶にある」
「エレンはたった一人の血の繋がった家族です」
――例え、世界を何度もリセットされても
「最後くらい会わせて下さい」
何度巡って、今この瞬間がなかったことになるとしても
「じゃなきゃ、私は何も言いません」
私は目の前でエレンを失いたくはない。
家族がいなくなる悲しみを味わいたくはない。これが、正しくない道だったとしても。
例え、これが正しい道でこの終わりのないループに終止符を打ったとしても、エレンを失って生き続けるのは苦しい。
だから失うのだけは嫌なのだ。
「……駄目だと言ったら」
「エレンの処刑が決まっているのに、何であれこれ聞くのか私には分かりません。私が何かを言ったところでエレンは兵団によって消されるんでしょう? それとも、私の言葉でエレンの処刑がなくなることがあるんですか?」
ザックレー総統は目を逸らした。言葉を詰まらせていた。
その時、私は思った。
兵団はエレンの処刑が決まったと私に嘘を吐き、エレンを助けようと必死に訴える様を求めている。
そして私からエレンの事を細かく聞き出し、それを使ってエレンを操ろうとしているのだろうか、と。
或いは、エレンの身内である私の方を疑っていて、どこかに隙がないか探ろうとしているのか。
どちらにせよ私の憶測に過ぎないが、まだこの世界は続かせることが出来ると思った。
「エレンに会わせてください。そしたら質問に答えますよ」
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