千鶴お姉ちゃんは最強
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「うわぁああああああ!!!!」
母様のお手伝いでお茶を入れていると、突然大きな声をあげて母様が飛び退いた。
「どうしたの?」
僕が振り返るも、母様はまたも叫んであちこち飛び回っている。
母様の見ている方を追うと、そこには黒くてぴかぴかしたあの虫がいた。
僕もぞっとしたけど、母様が怖がっているから強くあらなきゃ!
「大丈夫! 母様は僕が守るから!」
「茂……! ぅきゃぁああああああ!!」
「っ!」
勢いよく母様に手を引っ張られる。
かさかさと動くあの虫が、こちらにやってきたのだ。
母様は忍者で(でも今は忍者じゃない母様じゃない違う人としてこの屯所にいる。よく分からないけど父様からフヨウイに母様って言うんじゃないって言われている)、忍者といえば何も恐れず立ち向かうはずなのに……
母様はこの虫だけは怖いらしい。
母様の叫び声は大きく、すぐに父様達が駆けつけてきた。
「志乃? どうした、庭の井戸まで叫び声が筒抜けだったぜ?」
「左之さん……きゃぁああああ!」
「母様、痛い」
父様の後ろに隠れる母様だったけど、僕の手をいきなり引っ張らないでほしい。
「おい、茂が可哀相だろ。何だってんだ」
母様が指さす方向を見る父様達。
一緒にいた新八が気の抜けた声を出した。
「なんだ、ただの油虫じゃねぇか」
「叫ぶから何かと思ったぜ。左之さんあと宜しくー」
新八と平助は行ってしまった。
「本当、女の子はこういうの駄目だよね。僕も行くから左之さん任せたよ」
総司も行ってしまった。すると父様は溜め息を吐いた。
「お前らな……」
「では俺も行く」
「斎藤まで……」
「あんただけで事足りるだろう。何か問題でも?」
「いや……大丈夫だ」
はじめまで行ってしまった。
残された父様は僕の頭を撫でた。
「茂、母様を頼むな」
そう言って父様は退治に向かったけど――
「何で! 種田流槍術の免許皆伝なのに何で逃がすの!!」
「仕方ねぇだろ。意外とすばしっこいんだよ。つか、免許皆伝関係ねぇだろ」
「左之さんの槍から逃げられるやつなんていないんじゃなかったの!?」
父様と母様が言い合いを始めた。
何でかって、父様が油虫を逃がしてしまったから。
ううむ、父様から逃げ切るなんて凄い虫だ。
「槍で退治してるわけねぇんだから」
「だったら今すぐ槍を持ってきて!」
「いや、たかが油虫に槍って……」
「たかが!?」
激しくなるのは母様に、父様は困ったように僕を見た。
「油虫との戦いは戦よ!」
「戦って……。まぁ、志乃は昔から油虫苦手だよな」
半泣きの母様を優しく抱きしめる父様。
「ま、次出たら言え」
「その時は今度こそ仕留めてよね!」
「あぁ、分かってる」
父様は母様のおでこに口をつける。
一回平助に言われたことがある。
「茂、見てて恥ずかしくねぇの?」って。
いつものことだし、恥ずかしくないって答えたけど平助はびっくりした顔をしていた。
そしたら総司が「アクエイキョウだよね」って言ってたけど、アクエイキョウって何だろう。
でも昔から、父様と母様はこんな感じだし僕は皆が言うように変じゃないと思う。
母様のお手伝いでお茶を入れていると、突然大きな声をあげて母様が飛び退いた。
「どうしたの?」
僕が振り返るも、母様はまたも叫んであちこち飛び回っている。
母様の見ている方を追うと、そこには黒くてぴかぴかしたあの虫がいた。
僕もぞっとしたけど、母様が怖がっているから強くあらなきゃ!
「大丈夫! 母様は僕が守るから!」
「茂……! ぅきゃぁああああああ!!」
「っ!」
勢いよく母様に手を引っ張られる。
かさかさと動くあの虫が、こちらにやってきたのだ。
母様は忍者で(でも今は忍者じゃない母様じゃない違う人としてこの屯所にいる。よく分からないけど父様からフヨウイに母様って言うんじゃないって言われている)、忍者といえば何も恐れず立ち向かうはずなのに……
母様はこの虫だけは怖いらしい。
母様の叫び声は大きく、すぐに父様達が駆けつけてきた。
「志乃? どうした、庭の井戸まで叫び声が筒抜けだったぜ?」
「左之さん……きゃぁああああ!」
「母様、痛い」
父様の後ろに隠れる母様だったけど、僕の手をいきなり引っ張らないでほしい。
「おい、茂が可哀相だろ。何だってんだ」
母様が指さす方向を見る父様達。
一緒にいた新八が気の抜けた声を出した。
「なんだ、ただの油虫じゃねぇか」
「叫ぶから何かと思ったぜ。左之さんあと宜しくー」
新八と平助は行ってしまった。
「本当、女の子はこういうの駄目だよね。僕も行くから左之さん任せたよ」
総司も行ってしまった。すると父様は溜め息を吐いた。
「お前らな……」
「では俺も行く」
「斎藤まで……」
「あんただけで事足りるだろう。何か問題でも?」
「いや……大丈夫だ」
はじめまで行ってしまった。
残された父様は僕の頭を撫でた。
「茂、母様を頼むな」
そう言って父様は退治に向かったけど――
「何で! 種田流槍術の免許皆伝なのに何で逃がすの!!」
「仕方ねぇだろ。意外とすばしっこいんだよ。つか、免許皆伝関係ねぇだろ」
「左之さんの槍から逃げられるやつなんていないんじゃなかったの!?」
父様と母様が言い合いを始めた。
何でかって、父様が油虫を逃がしてしまったから。
ううむ、父様から逃げ切るなんて凄い虫だ。
「槍で退治してるわけねぇんだから」
「だったら今すぐ槍を持ってきて!」
「いや、たかが油虫に槍って……」
「たかが!?」
激しくなるのは母様に、父様は困ったように僕を見た。
「油虫との戦いは戦よ!」
「戦って……。まぁ、志乃は昔から油虫苦手だよな」
半泣きの母様を優しく抱きしめる父様。
「ま、次出たら言え」
「その時は今度こそ仕留めてよね!」
「あぁ、分かってる」
父様は母様のおでこに口をつける。
一回平助に言われたことがある。
「茂、見てて恥ずかしくねぇの?」って。
いつものことだし、恥ずかしくないって答えたけど平助はびっくりした顔をしていた。
そしたら総司が「アクエイキョウだよね」って言ってたけど、アクエイキョウって何だろう。
でも昔から、父様と母様はこんな感じだし僕は皆が言うように変じゃないと思う。
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