息子の秘密
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「茂が何か隠してるようなんだよね」
志乃が神妙な面持ちで俺に相談があると言ってきたのは、今朝のことだった。
今日は朝稽古を隊士に着けた後、すぐに朝飯。昼から巡察があるから、その間なら話が出来ると時間を取ったわけだが……。
「何かって……何だ?」
「それが分かれば聞かないから!」
バンバンと畳を叩く志乃の手を押さえて落ち着かせる。
「真剣な話かと思ったが――」
「真剣だよ! 子供のことだよ!? 左之さんは心配じゃないの!?」
「いや、まぁ……」
やべぇ、と思った時には遅い。志乃ははっとし、俺に攻め寄ってくる。
「左之さん、何か知ってるって顔ね」
「あ、いや……」
疑うように見つめてくる志乃に目を合わせられるわけなかった。
「知ってるんでしょ」
「……」
「左之さん」
「……つか、何でそう思ったんだよ」
話しを逸らそうと咄嗟に出た言葉だった。
結局逸らせてないが、俺に対する疑惑の目は逸らされた。
「や、昨日ね夕方に桜屋に行ったの。茂と」
桜屋。老婦人、若夫婦、六つか七つの夫婦の娘の家族でやってる新選組御用達の甘味屋だ。
「けど、その時に茂が落ち着きがなくて……。どうしたのって聞いても、何でもない!って言うし……」
「……で、どうなったんだ?」
「普通に買って帰って来たけど、結局何だったのか分からない。ただ、何となく帰りは落ち着いていたような」
悩む志乃に俺はどうしたものかと頭を抱えた。
「で……」
「?」
「左之さんは何か知ってるんでしょ?」
「っ」
じーっと見てくる志乃に俺はつい口を滑らせそうになった。
だが、ダメだと踏みとどまる。
「ま、気にすることねぇんじゃねぇか」
「何で」
「いや、まぁ……茂にだって言いたくねぇことはあるだろうぜ」
一切目を合わせないから志乃は絶対不審がってる。分かってはいるが、言えるわけなかった。
「左之さんには言うのに?」
「えっ! いや俺は何も……」
「何も?」
「……」
「……」
「……と、とにかく俺はこれから巡察だからな! じゃ!」
素早く立ち上がってさっさと部屋を出る。志乃が後ろで何か言ってるが無視した。――すまねぇな。
志乃が神妙な面持ちで俺に相談があると言ってきたのは、今朝のことだった。
今日は朝稽古を隊士に着けた後、すぐに朝飯。昼から巡察があるから、その間なら話が出来ると時間を取ったわけだが……。
「何かって……何だ?」
「それが分かれば聞かないから!」
バンバンと畳を叩く志乃の手を押さえて落ち着かせる。
「真剣な話かと思ったが――」
「真剣だよ! 子供のことだよ!? 左之さんは心配じゃないの!?」
「いや、まぁ……」
やべぇ、と思った時には遅い。志乃ははっとし、俺に攻め寄ってくる。
「左之さん、何か知ってるって顔ね」
「あ、いや……」
疑うように見つめてくる志乃に目を合わせられるわけなかった。
「知ってるんでしょ」
「……」
「左之さん」
「……つか、何でそう思ったんだよ」
話しを逸らそうと咄嗟に出た言葉だった。
結局逸らせてないが、俺に対する疑惑の目は逸らされた。
「や、昨日ね夕方に桜屋に行ったの。茂と」
桜屋。老婦人、若夫婦、六つか七つの夫婦の娘の家族でやってる新選組御用達の甘味屋だ。
「けど、その時に茂が落ち着きがなくて……。どうしたのって聞いても、何でもない!って言うし……」
「……で、どうなったんだ?」
「普通に買って帰って来たけど、結局何だったのか分からない。ただ、何となく帰りは落ち着いていたような」
悩む志乃に俺はどうしたものかと頭を抱えた。
「で……」
「?」
「左之さんは何か知ってるんでしょ?」
「っ」
じーっと見てくる志乃に俺はつい口を滑らせそうになった。
だが、ダメだと踏みとどまる。
「ま、気にすることねぇんじゃねぇか」
「何で」
「いや、まぁ……茂にだって言いたくねぇことはあるだろうぜ」
一切目を合わせないから志乃は絶対不審がってる。分かってはいるが、言えるわけなかった。
「左之さんには言うのに?」
「えっ! いや俺は何も……」
「何も?」
「……」
「……」
「……と、とにかく俺はこれから巡察だからな! じゃ!」
素早く立ち上がってさっさと部屋を出る。志乃が後ろで何か言ってるが無視した。――すまねぇな。
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