父と母
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庭で青虫の観察をしていると、一緒にいた茂君が目をこすりだした。
最初は目が痒いのかとも思ってたけど、どうやら違うらしい。目の前の青虫をぼーっと見つめているように見えたんだけど、覗き込むと瞼が半開きだ。
「眠いの?」
そう聞けば、頷いてまた目をかいた。
「じゃあ、志乃ちゃんのところに行こっか」
立ち上がり、手を差し伸べる。志乃ちゃんは茂君のお母さんだけど、つい最近まで死んでたことになってた。
茂君の手が僕の手におさまる。それじゃあ行こうか、と歩き出したけど――
「やだ。父様のとこ行く」
「え、左之さん?」
「総司、抱っこ」
生意気にも僕を呼び捨てにするのは、左之さんの影響だ。でも僕は子供が好きだからそんなこと気にしない。
現に、近所の子供だって僕を呼び捨てにしているけどやっぱり何にも気にならない。
手を伸ばす茂君を抱っこし、僕は志乃ちゃんのとこではなく左之さんのとこに連れて行った。
左之さんは庭で水浴びをしていた。そういえばさっき隊士と稽古してくる、と道場に行ってたっけ。
「左之さん」
頭から水を被る左之さんに近付く。
「ん? 総司か、どうした」
「茂君が眠いんだってさ」
僕の肩に顔を乗せる茂君は動かない。
「悪い、ちょっと待ってくれ」
その様子を見た左之さんは、水浴びを止め手拭いで身体を拭く。そして素早く着物を着るとこちらへ来た。
「茂君、ほら」
「んー……」
寝ぼけているものの、ちゃんと左之さんを認識したらしい。
茂君は自ら左之さんに手を伸ばした。
「総司、ありがとな。それにしても俺か? 志乃は?」
「だって、茂君が左之さんが良いって言うんだもん」
左之さんに抱っこされた茂君は、そのまま夢の世界に行ってしまった。
「寝ちゃった?」
「あぁ。このまま部屋に連れて行く」
「うん、じゃあね」
そう言って左之さんは、茂君を抱きかかえ部屋に戻った。
僕には父さんや母さんの記憶がないけど、あんな風に抱っこされてたのかな――なんて。らしくなかった。
最初は目が痒いのかとも思ってたけど、どうやら違うらしい。目の前の青虫をぼーっと見つめているように見えたんだけど、覗き込むと瞼が半開きだ。
「眠いの?」
そう聞けば、頷いてまた目をかいた。
「じゃあ、志乃ちゃんのところに行こっか」
立ち上がり、手を差し伸べる。志乃ちゃんは茂君のお母さんだけど、つい最近まで死んでたことになってた。
茂君の手が僕の手におさまる。それじゃあ行こうか、と歩き出したけど――
「やだ。父様のとこ行く」
「え、左之さん?」
「総司、抱っこ」
生意気にも僕を呼び捨てにするのは、左之さんの影響だ。でも僕は子供が好きだからそんなこと気にしない。
現に、近所の子供だって僕を呼び捨てにしているけどやっぱり何にも気にならない。
手を伸ばす茂君を抱っこし、僕は志乃ちゃんのとこではなく左之さんのとこに連れて行った。
左之さんは庭で水浴びをしていた。そういえばさっき隊士と稽古してくる、と道場に行ってたっけ。
「左之さん」
頭から水を被る左之さんに近付く。
「ん? 総司か、どうした」
「茂君が眠いんだってさ」
僕の肩に顔を乗せる茂君は動かない。
「悪い、ちょっと待ってくれ」
その様子を見た左之さんは、水浴びを止め手拭いで身体を拭く。そして素早く着物を着るとこちらへ来た。
「茂君、ほら」
「んー……」
寝ぼけているものの、ちゃんと左之さんを認識したらしい。
茂君は自ら左之さんに手を伸ばした。
「総司、ありがとな。それにしても俺か? 志乃は?」
「だって、茂君が左之さんが良いって言うんだもん」
左之さんに抱っこされた茂君は、そのまま夢の世界に行ってしまった。
「寝ちゃった?」
「あぁ。このまま部屋に連れて行く」
「うん、じゃあね」
そう言って左之さんは、茂君を抱きかかえ部屋に戻った。
僕には父さんや母さんの記憶がないけど、あんな風に抱っこされてたのかな――なんて。らしくなかった。
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