お墓参り
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あれは、まだ陽菜が志乃だと知る前の話だ。
――……‥‥
志乃が死んで、間もなく俺は墓を建てた。
正直、立派な墓じゃねぇが寺にお願いした。片隅に志乃は眠ってる。
暇な時は来ようと誓った。
そして、何度目かの墓参りをする時に俺は茂を連れて来た。こいつは志乃の死を受け入れられず、新しく来た新選組 の女中の陽菜に「母様」と言ってきかねぇ。
違うって言っても、本当は分かってるとは思うがあまりにも陽菜が志乃に似てるからか絶対に認めようとはしなかった。
だが、どういう心境の変化か今日初めて「母様のとこ行く」と、俺の墓参りについて来た。
道すがら、茂は「母様の好きなお花持っていく」と、野に咲く小さな花を摘んだ。俺は花に詳しくねぇから名前は知らねぇが、志乃が生前好きだった花には違いなかった。
――土葬した志乃は、この墓の下にいる。そう思うと、掘り起こして抱きしめたくなる俺は相当あいつに惚れ込んでる。
でも、掘り起こしたって何したってもう戻っては来ない。それが酷くやるせなかった。
「母様、ここにいるの?」
そうだ、と答えてやれば茂は俺の手を離して花を添えた。
「母様の好きなお花持ってきたよ」
「……」
「……父様」
不意に茂は俺の足にくっついてきた。その目は、寂しそうだ。
「どうした?」
目線を合わせ、しゃがみ込めば茂は涙目で俺の首に抱き着いてきた。
「茂?」
「……母様、お花嫌いなのかな?」
「……は?」
どういうことだろうか。思わず変な声を上げてちまったが、何で突如そんなことを――。
――……‥‥
志乃が死んで、間もなく俺は墓を建てた。
正直、立派な墓じゃねぇが寺にお願いした。片隅に志乃は眠ってる。
暇な時は来ようと誓った。
そして、何度目かの墓参りをする時に俺は茂を連れて来た。こいつは志乃の死を受け入れられず、新しく来た
違うって言っても、本当は分かってるとは思うがあまりにも陽菜が志乃に似てるからか絶対に認めようとはしなかった。
だが、どういう心境の変化か今日初めて「母様のとこ行く」と、俺の墓参りについて来た。
道すがら、茂は「母様の好きなお花持っていく」と、野に咲く小さな花を摘んだ。俺は花に詳しくねぇから名前は知らねぇが、志乃が生前好きだった花には違いなかった。
――土葬した志乃は、この墓の下にいる。そう思うと、掘り起こして抱きしめたくなる俺は相当あいつに惚れ込んでる。
でも、掘り起こしたって何したってもう戻っては来ない。それが酷くやるせなかった。
「母様、ここにいるの?」
そうだ、と答えてやれば茂は俺の手を離して花を添えた。
「母様の好きなお花持ってきたよ」
「……」
「……父様」
不意に茂は俺の足にくっついてきた。その目は、寂しそうだ。
「どうした?」
目線を合わせ、しゃがみ込めば茂は涙目で俺の首に抱き着いてきた。
「茂?」
「……母様、お花嫌いなのかな?」
「……は?」
どういうことだろうか。思わず変な声を上げてちまったが、何で突如そんなことを――。
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