初めて志乃さんにお会いしたとき、既に彼女は闘病生活に入っていた。
あまりお会いしたことはないけれど、それでも志乃さんの顔ははっきりと覚えている。

最近、屯所にやってきた陽菜ちゃんは非常に志乃さんに似ている。皆がそういうのだ。
私は、病弱なところしか見たことがないからかあまり想像がつかないのだけれど、何となく似ている気もしてくる。

そんな陽菜ちゃんが来てからは、炊事やお洗濯の負担はあまりかからなくなって正直、助かっている。本来、土方さんの小姓である私は陽菜ちゃんのお陰で、土方さんの身の回りのことをお手伝いできる機会が増えた。



「千鶴ちゃん！」


陽菜ちゃんの張るような声を聞いた瞬間、私の手に熱いものがかかった。


「熱っ！」

「すぐ冷やさなきゃ！」

「え、わっ！」


陽菜ちゃんは、私の腕を掴むと急いで冷水が入った桶に突っ込んだ。ひんやりとした感じが、手を包む。


「……大丈夫？」

「あ、はい。すみません……」


少し考え事をしすぎたせいで、私は軽い火傷をした。陽菜ちゃんに心配かけちゃったかな。